佐藤優氏は1日「4分割」の生活をしているという
2009年 02月 26日
■雑誌の「創」で鈴木邦男氏が書いていることだが、佐藤優氏(外務省休職中)は、時間の管理が徹底していて「1日4分割」を実行しているという。1日は24時間しかないが、そのうち睡眠に6時間、読書に6時間、執筆に6時間、あとの6時間を人にあったり雑事をこなす、とのことだ。
■「1日3分割」をいう人はよくいるが、4分割をして、きっちりそれを実行している意志の力はすごい。旺盛な筆力と、独自の知識で世界の中の日本や交際関係や外交問題について、卓見をはく佐藤優氏。鈴木邦男氏は1日6時間の読書というのが「すごい」と記している。
■学者なら研究のための読書をその程度は日々行っているはずだが(最近の大方の大学教授はそうでもないようだが)、佐藤氏の該博で多方面にわたる知識は1日6時間の読書の賜である。
ぼくなど、1日平均すると読書にあてる時間は細切れではかったこともないが、3,4時間といったところかもしれない。電車などの乗りものなかで、ほぼ1時間、寝床で2時間ほど。あとは喫茶店などで1時間ほどか。圧倒的に読書の量も質も不足していると感じている。
■仕事関係の資料等の読み込みに使う時間が多くなり、脳の記憶を豊かにし、思考を鍛えたりするための読書となると、1日、1時間程度かもしれない。
必ず読むべきだと思って購入する本は多いが、とてもこなしきれない。複数の図書館から常時、7,8冊かりているが、これも仕事関連が多くなる。仕事に直接関係のない読書をしないと、どんどん思考力が鈍ると自分でも感じている。
■「はじめに言葉ありき」というが、人が「人」として動物からわかれた原点に言葉があった。われわれが思考をめぐらせるとき、言語をつかっている。言葉は日々錬磨していないと、劣化するものである。おうおうにして、当人は鈍っていることに気づかないものだが、劣化に気づかないこと自体、深刻な劣化がすすんでいる証拠である。
■仕事の連絡等は、このごろたいてい携帯電話でする。だからこそ、「町が書斎」などといっていられるので、ありがたいツールが出現したものだが――。
中学生や高校生が携帯メールにつかう時間が、看過できないほど膨大になっているらしい。昨日新聞で読んだ記事によると、2割の中が二年生が毎日50通ものメールのやりとりをしているという。それも夜の10時や11時すぎに多いという。当然寝不足になる。本なども読む時間もないだろう。
■脳がまだ柔らかくて、鍛えれば機能が豊かに向上する時期に、友人とのメールのやりとりなどで膨大な時間を浪費する。ゲームなどに費やす時間も多く、それだけで一日は終わってしまう。携帯電話等の関連会社の利益は増えるかもしれないが、社会全体から見て、大きな「損失」である。それより、本もよまずに、携帯をぴこぴこいじって一日を終える中高生の姿は、「知の劣化」の象徴的な光景といっていいだろう。