依然アメリカ頼りの消費
2009年 06月 11日
■東京証券市場の株価が一時的にせよ1万円台にのったという。これで「底打ち」かと期待を抱くむきもあるようだが、日本経済はアメリカ経済に依存する体質をまったく脱却できていないので、アメリカ経済が上向かないことには、どうしようもない。
■朝日新聞夕刊のトップにGDPの1~3月期が年率換算で14,2%減であると報じている。個人消費が低迷していることが最大の原因だろう。過去数年、大手企業を中心に「ミニバブル」が発生し、株主や経営者は相当うるおったのに、社員や派遣その他の働き手の賃金が下落しつづけてきたことが、マイナス要因となって消費の足をひっぱっているのだろう。
■率直にいってアメリカ追随を最優先させた「小泉・竹中改革」の失敗といっていいだろう。「世界第二の経済大国」日本がブッシュ政権にあれほど従属しなかったら、アメリカだって、もうすこし市場経済原理主義へのアクセルの踏み方が弱くなって、これほどの悲惨な経済にならなかったかもしれない。イラク戦争にせよ、日本の小泉政権の「あとおし」がアメリカの過ちを助長したことは否定できない。
■そのアメリカ追随を主導した小泉氏や竹中氏だが、竹中氏は途中で議員をほうりだしてしまうし、小泉氏は政治の仕事にはまったくの素人の次男を、町工場ではあるまいし、自分の跡継ぎに指名した。「世襲」は利権の継承であると同時に、遺産相続の際の相続税を免れる有効な手段でもある、と週刊文春で上杉隆氏が詳しく書いていた。政治資金管理団体という形で自己の資産を保有し、これを世襲の後継者に相続すれば、相続税はまったくかからない。このカラクリを利用して、一部(多くかもしれない)の世襲政治家が、相続税をまぬがれているという。
■「昭和元禄」などといわれた時期なら凡庸な世襲政治家でも、政治の舵取りはそこそこ出来たかもしれない。しかし、時代の激変期には、凡庸な指導者は存在自体が害悪である。民主党の党首も世襲であり、感心できないが、長く野党にいただけ利権の相続の害は比較的少ないあろうし、国の運営システムを大きく変えようという意欲は与党にまさっている。国民の多くが政官財の癒着の構造にうんざりしている。社会の停滞した空気をかえる意味でも、窓をあけて新鮮な空気をいれかえるように政権交代を実現してもらいたいものだ。
■品川シーサイド駅近くの喫茶店で、デザイナーやイラストレーターと打ち合わせ。ある試みの一環だが、果たしてうまくいくかどうか。夜、昔一緒に仕事をした元某テレビ局幹部と電話で意見交換。「団塊ジュニア」といわれる世代から以下の人たちは、歴史(過去)を知らなすぎるという点で意見が一致した。もっとも、ある脳科学者の意見では、デジタル時代になり以前とは比較にならない多くの情報を脳が日々処理していることの結果なのか、最近の日本人の「知能指数」はひところに比べて向上しているという。もっとも知能指数と人間味や人間性とは、べつのことであるが。