コラム


by katorishu
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マイケル・ジャクソンの死をトップニュースで報じる新聞

6月26日(金)
■アメリカのスーパースターの歌手マイケル・ジャクソンが突然なくなった。全米に大きな衝撃を与えたとのことで、NBCやCNN、FOXなどの主要テレビは臨時ニュースとともに一斉に特別追悼番組に切り替えたという。アメリカのメディアがそういう扱いをするのはわかるが、日本の新聞がトップであつかうべきものか、若干疑義を覚えてしまう。テレビニュースは、ある面でジャーナリズムを放棄してしまっているので、トップあつかいも当然といえば当然であるが。

■新橋の駅の売店で見たところ、東京新聞と朝日新聞は一面のあつかいながらトップニュースではなかった。が、ほかはトップに大きな活字がおどっていた。もちろんファンには大変ショッキングな知らせであり、号外をだしても当然と思えるかもしれない。しかし、ファンでもなんでもない人には、世界的に有名な歌手がなくなった、というだけのことである。これが心中をしたとか、大犯罪をおかして死んだ……とかいうことなら、わかるが、アメリカのメディアに日本が追随することもないと思うのだが。テレビニュースなどでは、数字がとれるので、恐らく長々と流すのだろう。

■ぼくはにあまり興味のない歌手なので、なぜ死んだのか、死因のほうが気になった。もちろん人の死は悲しく、追悼の気持ちはあるが、新聞のトップニュースであつかうべきことは、他にもいろいろとあるのではないか、といいたいのである。夕方、永田町の某ホテルで行われた放送文化基金の受賞パーティに顔をだす。本年度はドラマ部門では倉本聰脚本の「風のガーデン」が受賞し、主演者の中井貴一氏が挨拶のスピーチをしていた。この種のパーティでは、旧知の関係者にあうことが多く、その後の消息等々意見交換ができた。渡辺美佐子さんなどもいらしていた。何年前だか忘れたが、TBS系の昼帯ドラマに渡辺さんが主演し、ぼくが脚本を書いた。そのほか業界関係者と名刺を交換したりして、しばし歓談した。

■見回すとお年寄りの姿が目立った。数十年前の放送業界関係者の集まりだと、みんな若々しく夢や野心をもち、みんな希望にあふれていた。今、日本全体が老いたことの証左だろう。一方、若い人が比較的多い集まりに顔をだすことが年に何回かあるが、こちらは年齢が若いのに、物わかりがよく、どこか老成している。というよりパワーがない。昭和30年代40年代の若者のような、向こう見ずな若さを見せる人が少なすぎるのである。これは成熟とはいわない。停滞であり衰弱であるというべきだろう。多くは、情けない空気をつくってしまった親や大人の責任である。
by katorishu | 2009-06-26 22:47 | 新聞・出版