コラム


by katorishu
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肉食を減らし米食中心に変えることが日本の劣化を救う

 2月6日(土)
■インターネットの普及で「情報は無料」という考えにとらわれている人が多くなったが、これは間違いである。本当に重要な情報は有料でしかはいらないことが多い。有料放送のCS放送を視聴するようになって、あらためてそう思う。例えば朝日ニュースターなど、地上波の無料放送ではなかなか見る事のできない番組をやっている。(地上波の民放もCM料を物を買うとき上乗せされていてタダではないのだが)

■本日は「日本の農業の未来」について「ニュースにだまされるな」の枠で2時間、農業専門家をゲストに呼び、縦横に語り合っていた。今の日本では食べ物は、案外安くなんでも手にはいると思っているが、今後そういうことはなくなる可能性が強い。世界の先進国のなかで、日本の農業は自給率も極端に低く、相当深刻な事態にある。

■50年前、日本の食料自給率は80パーセント近くで、世界でも自給率では上位に位置していた。当時ドイツが70パーセント。ところが今や、日本の自給率は40パーセントを切ろうとしている。一方、ドイツなどヨーロッパ諸国は70パーセント台を維持している。この50年間で、一人あたりの肉の消費量は6倍になったのに対し、米の消費量は半分に減ったという。

■日本人は自給できる米を食べずに、輸出に頼らざるを得ない肉を食べるようになったのである。東京オリンピックの頃の食事とあまり変わらない食事をしているぼくから見ると、唖然とする数字である。フード・マイレージという言葉がある。食料輸入量×運ぶ距離のことで、この数字が日本は世界で極端に高い。「食の安全」という観点から見て、非常に危うい事態である。いかに日本が歪んだ食料制度、食習慣を維持しているか、その証拠の一例である。

■世界は常に動いている。今が良くても明日はどうなるかわからない。これが世界の現実であることを、戦後の「平和ぼけ」「安全ぼけ」の空気のなかにいる日本人は忘れているようだ。本日、昼間、テレビを見ていたら、俳優の近藤政臣がでていて、視聴者からどんな食べ物が好きですかと問われて「お茶漬けです」と答えていた。デブやメタボとは無縁のスマートな体型を保っている近藤政臣だけあるなと思った。肉食を減らし、もっと米を食べる。そこから日本の農業の復活の芽がでるし、日本再生の土壌のひとつになるはずと思ったことだった。

■生き物は基本的に、生きる場所ないし、そこに近い所でとれた食物を食べるのがいいのである。食料は人の暮らしの土壌である。そんなものは輸入すればいいなどといっていると、惨めな未来が待っている。早晩、輸入などできない事態がやってくる可能性が強いのである。自分が住んでいる土地でとれるものを、主食にする。これが世界の常識である。ところが、日本は逆をいっている。「世界第二の経済大国」という裏打ちがあったからこそ、そんな芸当も出来たのだが、「経済大国」の座からすべり堕ちる可能性も強いし、「従来の常識」は「今後の常識」にはなり得ない。

■デフレのもと、すでに日本人の食生活はずいぶんと貧しくなっている。食文化の劣化は他のさまざまな分野での劣化につながる。日本人ならまず米を食べる。あたり前のことである。占領軍による戦後の「アメリカ化」の政策に、これほど従順に従った民族は珍しい。そろそろ「アメリカのくびき」から抜け出す必要がありそうだ。そのためには、人の暮らしの基礎の基礎となる食生活を変えていくところから始める必要がある。ただ、味の面でもすでに幼少期に「非日本的な」味覚を「刷り込まれてしまっている」人たちが多数派なので、このまま崖下まで転がり落ちる可能性も強い。
by katorishu | 2010-02-07 09:24 | 社会問題