コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

勤勉な中国人に対して、下品な日本のお笑い系テレビ番組

 4月18日(日)
■寒い日がつづき体調をこわしている人も多いのではないか。本日はすこし暖かさがもどり平年並みの気候になったが。気持ちはあまり弾まない。夕方、カミサンと近くの中国人の経営している中華料理屋にはいった。味はまあまあといった程度だが、値段も安く、なにより上海からきたと思われる若い女性従業員たちの感じがいい。

■日曜日も休まず、夜の12時すぎまで、みんなよく働く。昭和30年代から40年代にかけて、日本人の多くは勤勉でよく働いた。だからこそ「奇蹟の経済成長」があったのだが、今は勤勉さを中国人にとられてしまった感がある。もっと先の駅近くの酒場のチェーン店の店長も、上海からきた男性だが、じつによく気がつき、よく働く。

■以前、その男性が春節で中国に帰ったおり、日本人が店長代理をつとめたが、この時期、店にいったところ、注文した品物はなかなか出てこないし、よんでもなかなかやってこない。サービスが実に悪いし、もたもたしていて気がきかないのである。他の店でも、おしなべて中国人は有能な人が多いという気がする。

■これでは日本は中国に負けるな、と思ったことだった。こんな一事で万事を推し量ってはいけないのかもしれないが、ぼくの目にはいる限り、中国人はみんなけなげで働き者ばかり。「あいつらずるいし、拝金主義の亡者」などと中国人をけなす日本人が多い。しかし、最近はどうも様変わりしているという気がする。共産党独裁で言論統制があり、国として感心しない点が多々あるにしても、ひとりひとりの民には、美点がいくらでもある。伸び盛りの国の国民と、沈滞する国の国民。両者の間の違いは、目の輝きにも出ている。残念ながら、日本人には目の輝いている人が少ないのである。

■それとは別に中華料理店を早く出たくなった。理由は店に置かれたうるさいテレビ番組のせいである。いわゆる「お笑い番組」で、芸人がスタジオにきて、珍芸、奇芸を披露する。その下品なこと。出演者がみんな大口あけてバカ笑いしている。見る者を笑わせるのが芸人の芸のはずだが、出演者たちが勝手にバカ笑いして、ただうるさいだけ。こういう番組をおもしろがって見ている人が、相当数いるのだろう。

■ひところ東南アジアなど「後進国」「低開発国」といわれた国のテレビが、おしなべて、うるさいばかりの番組のオンパレードであり、文化の後進性の象徴と見られたりしたが、今や、それが日本で全盛である。どのチャンネルをまわしても、この類の番組ばかり。作る人がいるから見るのか。見る人がいるから作るのか。自分たちが大口あけて笑うのではなく、笑わせろよといいたい。これは率直にいって「宴会芸」である。宴会芸は関係者や演じている人たちだけが面白い。それを、テレビのゴールデンアワーで連日連夜放送している。日本の大衆文化の劣化を象徴する現象であるといっていいだろう。地盤沈下も加速するわけだ、と思ったことだった。
by katorishu | 2010-04-18 23:35 | マスメディア