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大相撲は「スポーツ」ではない

 7月7日(水)
■大相撲の「野球賭博』問題のごたごたの結果、NHKが大相撲名古屋場所の中継を今場所はやめることに決定したという。この件で、いろいろな人がコメントしているが、俳優で芸能研究家でもある小沢昭一氏の朝日新聞に載った「談話」がもっとも当を得ている。そもそも相撲は「神事」から起こったもので、その後、江戸時代になって、見せ物や大道芸などと同じく、今の「興業」に近い形ができあがった。

■芸能などと同じ、興業としてスタートしているので、近代的な「スポーツ」とは肌合いが違う。今度のことをさして小沢氏は「芸能的な由緒正しさの終わり」と表している。「怪しい世界」とのつながりを否定できないものが根っこにあるんだ、それを否定してしまったら、成り立たなくなる、という意味が言外にこめられている、と読んだ。問題があるとすれば、そんな大相撲界に巨額のカネが流れ込むことだろう。大相撲協会の年間の収入が100億円でそのうちNHKの放映権料が25億円ほど。これにタニマチ(この中にはヤクザがらみも多い)や懸賞などの「目に見えない」カネがはいる。

■つまり、巨額のカネが流れ込み、それを「世間知にうとい」元相撲取りが中心になって運営しているのだから、ヤクザ組織との関係は当然持続する。スポーツではなく、伝統的な「見せ物」の一種と割り切って見たほうが大相撲の本質がわかる。これを「国技」だとか文科省の管轄においたりするので、ややこしくなる。かりに徹底的に「暴力団」との関係を壊すとなると、今の相撲興業の形も壊れるであろうし、大相撲そのものが変容をせまられる。それほど伝統的に大相撲と「興業の世界」とのつながりは深いといっていいだろう。根底に「怪しい」ものがあり、そこが基盤のひとつになっているので、「押さえ」として検察や警察、さらにはマスコミのOB、天下りなどが「横綱審議会」や「調査委員会」などの主要メンバーになっている。

■この際、大相撲の世界を「浄化」して近代スポーツなみにせよ、という「世論」がもりあがっているが、その方向をとったら「大相撲」が「大相撲」でなくなり、たんなる「相撲」になり、ちょんまげや独特の生活様式もいらなくなる。そちらの方向も選択肢のひとつだが、そうなったらもう「国技」という言葉をやめたほうがいい。根底には「神事」があり、「神事」は今の近代社会から見たら、「不合理」であり「妖し」「怪し」の世界であり、それはそのまま天皇制と地続きである、といってよい。

■小沢昭一氏の語る観点から、今度の大相撲問題に触れている人が、ぼくの知る限り皆無。それが気になった。暴力団の介在を阻止するためにもっとも簡単な方法は、大相撲界に過剰なカネを流し込まないことだ。NHKの放送権料も高すぎるし、懸賞などもやめたほうがいい。収入が100億円から20億円ほどに減れば、カネに群がる「銀蠅」も自然によってこなくなるだろう。
by katorishu | 2010-07-07 10:49 | 文化一般