コラム


by katorishu
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妖しき文豪怪談、芥川龍之介の『鼻』のドラマを興味深く見た

 8月25日(水)
■昨日壊れたデスクトップ・パソコンの修理がおわり、深夜セットアップしたのはいいが、今朝になってパソコンからへんな音がする。再起動したが同じ症状なので、一度強制終了をした。すると、以後起動されない。富士通のテクニカルセンターに電話をしていろいろ試みたがだめである。どうも修理不備。パソコン本体に欠陥があるのではと疑った。確かめようもないので、不満ながら再びヤマダ電機にもっていって至急修理をといった。

■そのほか諸々ストレスを助長することばかりがあいつぎ、午後3時ごろまで仕事にならなかった。2時間ほを仮眠をとるとずいぶん頭がすっきりし、苛立ちはおさまった。外で仕事をし9時すぎに切り上げ、帰宅してNHKハイビジョンで「妖しき文豪怪談」の第3弾、『鼻』(芥川龍之介原作)を見た。30分ほどの短編で、後半の30分は芥川がらみのドキュメント。人と作品、さらに李相日監督のインタビュー、現場での撮影風景などで構成されていて、こちらも見応えがあった。

■さて映像化にチャレンジしたのは在日朝鮮人の李相日監督。「芥川龍之介原作」とあるように、あくまで『鼻』は原作であり、李監督がふくらませた「再創作」というべき作品である。『フラガール』で名をうった李監督である。氏のデビュー作は『青チン』というタイトルであったかどうか、朝鮮学校を舞台した作品で、ぼくは興味深く見た。映画学校の卒業制作としてつくった作品でる。某制作会社の特別試写で、当時映画学校の学長をされていた映画評論家の佐藤忠雄氏ほか数人で見たと記憶する。ぼくを誘った某著名演出家が、試写後、佐藤氏もまじえて簡単な食事をするというので誘われたが、李氏の作品を高く評価する佐藤氏と、ぜんぜんよくないと否定する某氏の間で、こちらは終始戸惑っていた。

■そのとき以来、李監督には注目していたが、その後、「フラガール」で開花し、さらにこういう実験作に挑む。映像は当然のことながら、原作のもつ「ユーモア」と鋭い風刺とは別ものになっていたが、李監督作品としておもしろく見た。川端作品のように「現代もの」ではなく昔話なので違和感はすくなく、素直に中にはいっていけた。芥川の短編は小説の手本でもあり、昔ぼくは構成や文体など繰り返し読んで勉強した。それだけに思い入れもある。

■後半のメイキングのところで、芥川の原作の『鼻』の一節をナレーターが朗読したが、これが素晴らしかった。イメージを強く喚起され、映像以上にこちらの胸に響いた、とつけくわえておこう。明日もこのシリーズがあるのかどうか。時間が許せば見てみよう。最近こういうテレビの見方をしたことはない。それだけ関係者の熱気が、こちらの胸に伝わってきたということだろう。
by katorishu | 2010-08-25 23:53 | 映画演劇