コラム


by katorishu
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明治座公演にいった。自粛、自粛では日本は復興しない。

 3月22日(火)
■昨日は浜町の明治座に「川中美幸・天空の夢」をカミサンと見に行った。演出、脚本、音楽、そして出演者の何人かと「飲み友達」でもあり、心をリラックスさせるためもあって行った。普段、舞台は中劇場か小劇場での公演しかみないが、ときには商業演劇も悪くない。こちらには独特の雰囲気があり、多くの人に「楽しんでもらう」一点に集約して作られているので、素朴に楽しめる。

■芝居と歌の二本立てになっていて、両方とも川中美幸色でそめられている。彼女がエンターテイナーとして一流の才の持ち主であるこを再確認した。今年85歳になってまだ現役で「川中」というお好み焼き屋(渋谷にあり、何度か行ったことがある)をやっているお母さんの話をまじえた「語り」のうまさは大変なものだ。大地震の影響で3分の1が休演になり、関係者は冷や汗ものであろうが、中身は充分癒しになった。

■大地震のあとの福島原発の事故も未だ解決せず、「計画停電」などもあって東日本はどこもかしこも『自粛』である。なにか事を起こすと、この時代、電力を消費する。したがって、イベントほか催しも自粛し、みんな冬眠のようにじっとしているべきという風潮が急速にひろまっている。





■電力不足は当分つづくであろうし、節電も必要である。しかし、停電が続くと、今後、日本経済に大きくブレーキをかけることになる。そうでなくとも落ち込んでいる日本経済が、それでもつかどうか。さらなる「大混乱」を起こさないためにも、自粛という手段ではなく、経済を活性化する方策をとれないものか。

■といっても東京電力管内では原発が機能せず、電力の需要に供給が追いつかない。従って需要を減らすしか方法がない、といわれると、国民は仕方なく従わざるを得ない。短期間なら我慢できるとして、この先、半年、1年「計画停電」とやらが続くと、日本は経済の面から崩壊するだろう。倒産や失業者が急増し、社会不安で人心も荒廃する。経済が崩壊したら税収も相当落ち込み、被災地の復興もままならなくなり、さらに社会の劣化がすすむ。いわば悪のスパイラルに陥ってしまう。素人でもわかる道理である。

■現下の苦境をどう打開するか。一方で中長期的にみて日本という国の営みをどのようにしていくか、責任をもってグランドデザインをだし、実施していかねばならないのは、いうまでもなく政府である。政府や官僚はこういう時にこそある。突然の大惨事で慌てふためいたのはわかるが、今度の危機にあって、政府や関係機関の対処の仕方が良かったのかどうか、今後、検証されてしかるべきだろう。

■自衛隊、消防隊などもふくめて、対処の仕方ひとつで被害の規模がかなり違ってくる。今後、被害は直接の被災者ばかりでなく、電力不足や被災地および周辺にあった企業の破壊などによって強い影響をうける企業、そのほか、あらゆる業種、人間におよぶ。すでに「国家非常事態宣言」でもだすような深刻な事態である。

■一方で、行き詰まった日本をより良く変えるチャンスととらえることも考えられる。犠牲者には申し訳ないが、この大惨事を契機に、日本は、より良い日本、住みやすい日本、多くの国民が少しでも幸福になれる日本の「再建」にむけて、出直す時にきている。繁栄を謳歌した、良くも悪くも「おめでたさ」に満ちた「戦後ニッポン」には、ここらで終止符をうったほうがいいだろう。つぎにどのような「日本」にしていくか、国民一人一人が問われている。「天から」問われているといいってもよいくらいだ。
by katorishu | 2011-03-22 10:13 | 社会問題