コラム


by katorishu
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レクラム舎公演を見た。男がもっと映画館、劇場に足を運ぶようになれば日本も変わるのだが

 5月1日(日)
■昨夜、世田谷の松陰神社近くの住宅街のなかにあるスタジオARで、レクラム舎公演『内はホラホラ外はスブスブ』を見た。脚本は佃典彦。オリジナルの最新作らしい。鈴木一功と中西良太が主演。ある小さな町の5階建てビルの屋上にある「虹ヶ丘第二消防団」が舞台。そこにいつく二人の「消防士」をめぐる物語。二人には触れられたくない過去がある……。

■いつものレクラム舎公演だと、突然、異形のもの、怪物、化け物などがでてきて、急展開する。いかにもアングラ芝居の残滓があるのだが、今回はまっとうな物語展開。ミステリアスな展開で最後にどんでんもあり、楽しめた。大震災の影響もあるのか、お客は少ない。この種の小劇団はどこも内情は火の車である。





■終わって例によって近くの居酒屋で一功氏らと歓談。松戸で演劇鑑賞会を主催していr人がきていた。松戸には800人の会員がいて年に何度か、公民館などで公演をうってるという。昔の「労演」の流れをくんでいるようだ。地方ではこういう演劇鑑賞会の活動も盛んで、たとえば以前、仙台では8000人ほどの会員がいたという。

■長引く不景気で会員数は減っているらしい。今度の大震災でさらに悪影響がでそうだ。松戸の主催者はレントゲン技師が本業だが、とにかく芝居を見るのが生き甲斐であり、ひところ年間180本芝居を見たことがあるという。いまでも年に50本ほど見るらしい。こういう人が演劇を下支えしているのだな、とあらためて思ったことだった。

■松戸の会員は9割が女性であり、この傾向は全国どこでも同じとか。男が芝居を見ないのである。映画館にもあまり足を運ばない。欧米ではビジネスマンが商談のあとシェークスピアや現代演劇、映画、美術などについて会話の花を咲かせる。それが常識であり、したがって男性もよく映画館や劇場に足を運ぶ。日本でも男性がもっと映画館や劇場に足を運ぶようになれば、社会の様相がかわるのだが。そうなれば、内容も多彩になり豊かになり、面白くなる。現状では、窮すれば鈍す……となっていく。
by katorishu | 2011-05-01 13:34 | 映画演劇