コラム


by katorishu
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世界的に進むジャパナイゼーション

 8月11日(木)
■時代をどうとらえるかは、置かれた立場によってまるで違ってしまう。自分にとってプラスになることが多ければ、ほとんどの人は「良い時代」であると感じるし、マイナスのことばかりが続けば「悪い時代」という。人は終局のところ利己的で、俗な言い方をすれば「自分が可愛い」のである。だからこそ、人類はかくも繁栄してきた。繁栄とは他の犠牲の上に成り立つものである。

■その点で人間社会は今も昔も戦いの連続である。殺し合いが日常であった戦国の時代から、かなりスマートになったものの、この世が戦いの連続であるという本質は変わらない。現在は武力ではなく経済、つまり金銭という武器で、小は町の小売店から大は国と国との「金融戦争」まで、みなさん日々、知恵を絞り、なんとかライバルを出し抜き、己の利を得ようと戦っている。そんななか最近、国際金融の世界では「ジャパナイゼーション(日本化)」が他の先進国にひろがりつつあるという。





■「ゼロ金利」のままの低成長から抜け出せないことを称して「ジャパナイゼーション」といい、これがアメリカやイギリスにひろがっているのである。ありがたくない現象だが、先進諸国が己の利を最優先させ「欲張った」政策を実施した結果、皮肉にも我が日本のていたらく現象が、伝染していく。笑えない現実である。円高、株安が、輸出にたよる日本経済を今後、直撃し、低迷する経済に追い打ちをかけそうだ。やれやれである。

■文化、芸術などというとスマートだが、これにかかわる人の多くは、要するに社会の「上澄み」のところで生きているのである。経済の劣化は、その上澄みが減るかなくなることでもある。景気は循環するので、時に良くなったり悪くなったりしつつ全体的にはバランスがとれてきたが、現況はどうやら昭和初期の「大恐慌」にすでに入っているか入る瀬戸際にある。ぼくなど社会の「上澄み」のところでずっと生きている人間なので、この部分がなくなると、酸欠にあった魚のようなもので、息苦しくも、穏やかではない。画期的で時代の閉塞を打ち破れるかもしれない提案を複数しているのだが、資金面で壁につきあたっている。めげずに壁をノミで打つように切り崩していくしかない。暑さにめげずに。おかげで年を忘れる。「生涯一書生」。幸い、これはまだ体の奥底に生き続けている。それだけがぼくの「武器」であるといえようか。
by katorishu | 2011-08-11 07:11 | 文化一般