SNSで情報発信する政治家が急増。SNSが日本を変える原動力になる可能性
2012年 04月 25日
■大震災以後、フェイスブックやツイッターなどSNSで情報発信する人が増えている。世界的傾向であり、これが人と人とのコミュニケーションの形を変えていくにちがいない。フェイスブックの利用者は世界で9億人を超え、ツイッターも1億4000万人以上に急増しているという。このツールに政治家も注目し、活用する人が増えている。
■現在、ツイッター上で自分の政策や考えをもっとも意欲的に発信している政治家は、ぼくの知る限り橋下徹大阪市長である。140字という制限があるので、短く簡潔に考えを記す必要があるが、橋下氏は短い文章で多くの人にアピールする「文章作法」を会得している。この人はコピーラーターの才がある。このところ目立つのが「連続ツイート」。140字ではなかなか説明できないテーマを、たとえば10回連続してツイートすることで1400字分の情報を発信できる。原稿用紙3枚から4枚。これだけあれば、いいたいことはかなりの程度いえるし、説得力をもった論を展開できる。無名の市民にも直ちに答えを送ることができる。こんなツールはこれまでなかったし、まったく新しい形のコミュニケーションの形だ。
■「政治は結果である」とはよくいわれることだが、これからの政治家に必要なのは、政策や考えを「言葉で論理的にわかりやすく伝える」能力である。SNSでの発言は「文字として残る」ので、前と矛盾したことをいったりすると、それを指摘され、SNSでさらされる。この点、云いっぱなしや、その場かぎりの「リップサービス」の弊害をまぬがれる。自分の発した言葉に責任をもつこと。政治家にかぎらず「指導者」には大切なことである。
■善し悪しは別にして、いまのところ橋下氏以上に、自己の考えを簡潔に大衆にむけて発する能力をもった政治家はほかにいない。ここ1,2年の政界における「台風の目」になるにちがいない。この政治家について、当初「うさんくさい」ものを感じていた。お笑いタレントから知事になった人が何人もいるが、いずれも政治家としてお粗末すぎて、なぜこんなお粗末な人を選ぶのか、と当地の有権者に怒りさえ覚えたものだ。
■橋下氏も、その類かなと思っていたのだが、人気だけあって政治家としては「凡庸以下」の〈タレント〉とはひと味もふた味も違うようだ。ある種の危険さもあるが、どうしようもなくなった日本を、動かし、変えていくためには、あのくらいの「大衆扇動技術」をもった人材でないと、利口な官僚に洗脳され、人寄せパンダの役割を演じてしまう。アメリカと財務省のふりつけで踊る某最高指導者など、その典型である。
■今の日本に必要なのは、旧来の機能しなくなったシステムを変える力のある指導者である。変えることに抵抗する一定数の「既得権益」層がいて、マスメディアも多くはそちらを応援しているようだ。既得権益の岩盤を打ち砕くには、SNSが強い武器になるかもしれない。個人が自由に情報発信し、それが世界にひろがっていくSNS。もちろんSNSなどインターネットのマイナス面も数えあげればきりがない。
■しかし、ともかく今の閉塞感を打開する強力な装置であることは間違いない。将来のトップクラスの政治家は、このツールをいかに有効に利用し、いかに「大衆扇動」ができるかによって決まってくるにちがいない。システムを変えることで、より悪くなる可能性もありうるが、現状のままで全体が沈んでいくよりは、ましであろう。今はこの新しいメディアに(過剰な期待はしないで)期待しておこう。