コラム


by katorishu
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関東大震災後の日本と似ている点が多い今を、懸念する

8月4日(土)
■まもなく震災後二度目のお盆をむかえる。震災で家を流され、命を奪われた東北の人たちには、今もって慰めの言葉もない。時間の余裕がなくまだ一度も被災地に足を運んでいないのだが、そのうちと思っている。いって何ができるか、野次馬根性で出かけては被災者に対して申し訳がない。まもなく朝日新聞のWEBRONNZAで連載を開始する予定の「昭和エログロナンセンス」の膨大な資料と格闘する日々だが、関東大震災後の時代相と東日本大震災後の時代相があまりに酷似していて驚く。

■大震災の復興は思ったようにすすまず、他方世界的な大不況に見舞われ、企業倒産や失業者が激増する。一方で、ごく一握りの富裕層は肥え太る。そのあわいに誕生したモガ・モボ、それにカフェーに象徴されるモダニズムの空気。それが関東大震災後の日本のシンボルであった。既存の価値観が音たてて崩れるなかに、ノンセンスの文化がはびこり、一種刹那的気分が横溢した。

■徒花のような文化が咲き誇るのはいいのだが、そのあと反動のように軍国主義が台頭する。昭和初期と今とはもちろん時代が大きく変わっているものの、大根のところ変わっていない部分もある。尖閣列島問題ひとつとっても、いつ衝突が起きてもおかしくないし、一旦、軍事衝突がおこればどう転ぶかしれたものではない。統制国家へ傾斜する動きもでてきたし、昭和初期の二の舞を演ずる可能性もあり得る情勢になってきた。いずれにしても、マスメディアの情報を素直に信じるのではなく、批判的に読み取る気構えが今ほど大事なときはない。
by katorishu | 2012-08-04 21:45 | 文化一般