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秘密保護法案で日本が「監視国家」にならないか、懸念。中国の公安の動きも気になる。

 10月7日(月)
■作家の浅田次郎氏が会長をつとめる日本ペンクラブが、秘密保護法案の危険性について反対声明を発表した。物書きを職業としている人ばかりでなく、国民の多くが今後、窮屈な目にあう可能性を含んだ法案といえそうだ。法律というのは怖いもので、いったん通ってしまうと、「運用次第」でどうにでもなる性格をもつ。

■本日コンビニで買った東京新聞が、「点検・秘密保護法案」というタイトルで連載記事を載せている。公務員について「適性評価」なる項目があって、「秘密を漏らす恐れがないか」適性調査をすることを義務づけている。防衛産業など秘密を扱う契約業者の民間人も対象となる。これまでだって採用時の調査はやってきたはずだが、今回の法案で調査する個人情報は多岐にわたり、プライバシーを侵しかねないと指摘する人も多い。




■調査項目は①スパイ・テロ活動との関係、②犯罪、懲役歴、③情報の違法な取扱歴、④薬物乱用や影響、⑤精神疾患、⑥飲酒の節度、⑦借金などの経済状況などの7つ。病歴や借金など、きわめて個人的な内容が含まれている。さらに公務員や民間人の家族も調査される。親、配偶者、子、兄妹姉妹やその他の同居人の住所、生年月日、国籍まで確認するという。対象者の家族までふくめると膨大な数にのぼる人(公務員)が調査をうける。いやな感じ、と思ってしまう。

■ぼくなど、おおざっぱ、アバウトなところがあり、監視や管理をもっとも嫌う。動物の一種であるヒトはもっとおおらかであって欲しい。そうでなくとも規則、規則で年々、息苦しさが強まっている社会である。こんな国民監視の法律が通ってしまうと、ますます鬱陶しい社会になりかねない。外国ではもっと厳しいなどというヒトがいるが、外国の真似などしなくてもいいのである。真夜中でも女性が一人で歩いてとくに危険を覚えない国など、そうそうあるものではない。こういう美点は外国を真似なくていいのである。

■どうも外国からの危機やテロを過剰にあおることで、国民を監視、管理していく社会をめざそうとする「国家主義者」およびそれに賛同する人がふえているようで、懸念される。ナショナリズムの台頭はろくな結果をもたらさないことを、歴史は教えている。日本人の多くは骨身にしみて知ったはずなのに、そんな嫌な体験を知らない、ある種の「理想主義者」が政治をとりおこなうと、窮屈な社会になりかねない。「現実」を忘れて「理論」や「理想」に走った典型例がマスクス主義の政治家である。

■以前、東ドイツの秘密警察(シュタージュ)の監視下にある東西ベルリンの市民の息苦しい暮らしを素材にラジオドラマを書いたことがあり、警察国家の怖さをボクなりに勉強した。警察国家の愚劣さは時にブラックユーモアもので笑ってしまう。北朝鮮は論外だが、統制国家の中国も、最近どうも様子がへんである。日本の大学で教えている中国人の政治学者、朱健栄氏が上海の公安につかまったまま何ヶ月かがすぎ、いろいろと憶測をよんでいる。インテリジェンス関係者は、この事件に注目し、大きな変化の端緒とみている者もいる。

■ところで、以前、日本に住む外国人に取材して本を書いたが、その中に元公安にいた中国人女性がいた。上海出身の彼女の部分は十分の一ほどであった。「公安部員であったことや、公安の内部のこと、書いて大丈夫?」と聞いたところ、美麗な彼女は「毛沢東の時代とちがうから大丈夫」と答えた。その本がでたあと、中国通の先輩から電話があって、「あんなこと書いて彼女だいじょうぶか。危ないんじゃないか」と語っていた。美麗な中国人女性は日本人と結婚して中華料理の材料をつくる仕事をしていたが、その後、どうしたであろうか。昨今の中国情勢をみていると、ちょっと気になる。彼女の話を「ヒント」に『上海からきた女』という小説を書こうと思ってから、すでに10数年がたってしまった。
こういう時代である。とりくんでみるか、と思い始めている。
by katorishu | 2013-10-07 19:01 | 東アジア