コラム


by katorishu
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富岡製糸場が世界遺産に。「女工」イコール「哀史」とはいえない。一事で万事を決めつけるのは誤り

7月4日(金)
■富岡製糸場が世界遺産に。ちかごろ珍しく明るいニュースだ。実家が織物業を営んでいたので、生糸には特別の関心がある。さっきNHKの関東ローカルで関連番組を流していたが、この製糸場を作った人物にまったく富岡製糸場が世界遺産に。「女工」イコール「哀史」とはいえない。一事で万事を決めつけるのは誤り_b0028235_23582270.jpg触れていなかった。銀行、株式会社というシステムを始め製紙、電力、ガス会社等500もの企業を設立し、一橋大学や日本女子大、赤十字、理研等500以上の教育社会福祉施設を作り「日本の近代と資本主義の父」といわれる渋沢栄一である。富岡製糸場の初代の工場長は渋沢の師匠の尾高藍香。

■運営にあたっては、渋沢栄一が子供時代に従事していた藍玉の作成販売のときの知恵をとりいれ、能力や努力が報われるようにした。製糸というと「野麦峠」の「女工哀史」が有名だが、富岡製糸場は哀史とはまるで無縁。みんな誇りをもって働いていた。

◾️戦前の繊維工場は「女工哀史」と反射的に結びつけられているが、これも正しくない。中小零細の我が家にも「女工」さんが住み込んでいたが、食事も一緒にとり家族同様のあつかいだった。嫁入り前の「行儀見習い」もかねていた。小学校のとき、級友が「お前んちは女中が一杯いていいなあ」といったのを覚えている。女中などおく余裕はなかった。

■祖父母の話では住み込みの女工さんに対しては、明治、大正、昭和を通じて、家族的あつかいをしていたというし、一族の多くが織物関係者であったが、「哀史」の話を聞いたことがない。祖母の話では初期のころ動力は水車であったという。
いずれにしても、「女工」イコール「哀史」というように、一事で万事を決めつけるのは間違いである。

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7月24日、日本経済新聞出版社より、渋沢栄一から「シブサワ・スピリッツ」を学んだ16歳の定時制高校生が起業し、成功に至る経済小説「渋沢栄一経営教室Sクラス」がでます。意欲のある若者へのエールをこめた作品で、もちろん僕の発想で、初挑戦するジャンル。 「天国の本屋」シリーズで通算100万部をこえたベストセラー作家、田中渉氏との共著です。
最終の校正で熟読した。(自分でいうのもアレだが)かなり面白い。随所に渋沢栄一の金言があり、なるほどなるほどと納得。買った人に決して損をさせないものにと田中氏と知恵を絞った、汗の結晶です。高校生から40歳ほどまでがターゲットの新種の「経済小説」です。アマゾンで予約できます。
by katorishu | 2014-07-05 00:07 | 文化一般