空前の興行成績をあげるアニメ『君の名は。』を見た。映像と音楽はすごいが……
2016年 10月 24日
10月24日(月)
■過日、品川のシネマコンプレックスのTジョイで話題のアニメ『君の名は。』を見た。東宝系のアニメで空前の興行収入をあげ、なお上映中。座席の6割ほどが埋まっていた。
久々にアニメ映画を見ての感想だが――映像の華麗さ、綺麗さ、見事さは感動もので。肝心のところに挿入される歌もいい。雰囲気で一気にもりあげていく構成も悪くない。エンターテイメントの常識にのっとり、まさに「数字」をだせる作として、関係者、とくに新海監督の力量はすごいと思った。制作陣の筆頭に東宝映画の大黒柱となった市川南氏の名前があった。なるほど、市川南氏がからんでいるのか。市川南氏とは2度ほどお会いしているが、いわゆる「映画屋さん」とは趣を異にする紳士で、デリカシー豊かな人だ。
■ただ欲をいえば――アニメ映像の華麗さ、綺麗さ、音楽の良さに「幻惑」され、酔えるものの、もうひとつ登場人物が深みに欠け、心の奥底からわき出る感動作には今だし――という感想だ。映像処理技術、とくにCGの急速な発展に負っているところ大で、アニメ映画史に残る作品ではあるが。そうそう、大ヒットしたディズニーのアニメ『アナと雪の女王』に通じるものを覚えた……。
■僕はそんなに多くアニメ映画を見ていないが、これまで見たなかでは、筒井康隆原作のアニメ作品『時をかける少女』(細田守監督・2006年制作)が随一である。
大林監督の映画「時をかける少女」も見たが、これは正直いってそれほど感心しなかった。大林版実写映画の約20年後、アニメ版がつくられた。2006年を舞台とした新たな物語で、主人公の紺野真琴は、芳山和子の姪の設定。原作者の筒井康隆はこのアニメ版について「本当の意味での二代目」とコメントしていたとか。(この項ウイキペディアより)
■ともあれ、このアニメが国内ばかりか海外で評判を呼び、「日本製アニメ」が日本のソフトの発展に寄与するとしたら嬉しいことだ。これをきっかけに意欲と才気ある新人がチャレンジすることになれば、なお嬉しい。実写の映画やテレビドラマなども、海外に通じる作品がもっともっと綺羅星のごとく出てくると「文化大国・ニッポン」を世界に印象づけられるのだが。依然として「ハコモノ」に大量の税金を投入しているようでは、中国やインドに負けてしまう。20億人の巨大市場むけに中国とインドが映画制作で提携する話も進んでいることだし、「政経分離」というより「政文分離」で、まずはアジア地域での文化交流がすすむと良いのだが。