コラム


by katorishu
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「教育改革」は過去ほとんど「改悪」に通じている

 11月15日(水)
■教育基本法を与党が野党欠席のまま裁決した。沖縄知事選があるので、単独採決はさけると見られていたが、安倍政権は敢行した。教育基本法について精査したわけではないので、断定的にいうことはできないが、教育の根幹にかかわることは、拙速にきめるべきではない。
 教育関係の「改革」「変革」は、数十年前の都立高校入試改革や大学入試改革では、明らかに改悪になっている。教育の現場が相当ひどい状態であることは漏れ聞こえてくるが、その原因はどこにあるのか。旧文部省、日教組の「ダッグマッチ」の結果という人などいるが、いろいろなことが複合して、いわば「複合汚染」状態になっているにちがいない。

■枠をあらためることが、しばしば「改悪」に至っている現実を、関係者はどの程度認識しているのだろうか。タウンミーティングのやらせが発覚し、沖縄県知事選を前に、一見不利と見られる情勢のもと、安倍総理は「執念」で単独採決に踏み切った。内閣府では多額の費用をつかっていろいろと「世論調査」を実施しており、その結果を見て、「民意はこちらにある」と判断したのだろうか。

■荒廃しているのは何も教育現場だけではない。大人の社会の歪みもひどいもので、例えば本日、福島県知事の逮捕に続いて和歌山県知事が談合疑惑で逮捕された。和歌山県知事は自治省の官僚出身であるという。社会のリーダーがこうも次々、悪事をかさねては、多くの国民にシメシがつかない。教育改革の前に、「リーダー改革」をするべきである。昔から権力を握ると、一定数の人間は権力行使の旨味を知って、影で悪さを働くものだが、発覚したら元も子もなくなるのに一向になくなりませんね。

■権力には大小あり、小は町役場クラスの権力行使や、外部発注を担当するどこにでもある会社の社員から、閣僚クラス、知事クラスの人までいろいろあるが、権力を行使する位置につくと、人がかわってしまうのかもしれない。権力は魔物であるとあらためて思う。
 それにしても、あさましい世の中である。いつの世もダメで、いぎたなく、姑息な人間は多く、古い新聞をくると、実例が無数にころがっているが、バブル崩壊後の日本社会のモラルの欠如は、それ以前の時代にくらべ際だっている。

■成金の大量生産と、凋落。ごく一握りの人間ではなく、国民の多くが、バブル崩壊によって、多かれ少なかれ「損」をしたと思っており、それが社会の空気に露骨に反映している。事実、商売や事業がたちゆかなくなり、自己破産したり自殺に追い込まれる人も、絶えない。一方、「うまく立ち回った」人間ばかりが得をしている――と多くの人が思っており、現に株バブルで儲けた人も一定数いて、臆面もない成金生活を送っている。

■そんな大人の「背中を見て育った」世代が、今や社会の中堅に近づこうとしている。彼らの中に「職人肌」の人がどのくらいいるのだろう。ぼくの観察する限り、愚直な職人肌の人が激減し、悪い意味の「アキンド」「チョーニン」といった人々が跳梁跋扈して、マスコミでももてはやされている。週間現代などで、あれほど「悪行」を暴露された某占い師など、依然としてテレビに出て、お説教をのたまっている。世も末とは、こういうことをいう。ま、いつの世も「末世」の空気はあるのですが。
 くどいようですが、どうか、パソコンや携帯画面から目を離し、人類の叡智がこめられている本を読んでください。それが国民のモラルの低下をふせぐ、 もっともカネのかからない近道であり特効薬です。(と、いくらいっても読まないのでしょうね。本日、夕方、品川区立図書館にいったが、ガラガラでした。読書は知を刺激し、想像力を刺激し、快楽に通じるものなのに)
by katorishu | 2006-11-16 01:06