コラム


by katorishu
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インドの衝撃、ボーダレス化のなか日本は大丈夫?

 2月12日(月)
■建国記念日である。以前は2月11日であったが、休日と重ならないようにするため、動かす。成人の日も以前は1月15日と決まっていたが、これも休日と重ならないように動かした。そのため、いつが成人の日であるか、ぼくなどよくわからなくなっている。同時に、祝日への興味も失っていく。祝日は月日を固定したほうがいい。祝日を増やすためというのなら、代替日をもうければいいはずだ。
 
■地名などもそうだが、由緒があり情緒のあった地名が改正され(消され)「東上野×丁目」などと味気ない町名になってしまった。効率化や人の都合でそうするのだろうが、長い時間をかけて培ってきた先人に対し、ずいぶんと礼を失している。現実に会わせて伝統や文化を勝手に改竄することを「ご都合主義」という。最近、この傾向がますます強くなっている。
 ゼニ儲けのためには、それが効果的で効率をあげるのかもしれないが、人はゼニのために生きているわけではない。そういえば「人はパンのみに生きるあらず」といった意味のことが、数十年前によくいわれてましたね。

■遅まきながら、NHK特集「インドの衝撃・1」を見た。インドの初代首相ネルーの「頭脳立国インド」がIT技術の出現によって実を結び始めたと改めて思う。インドの人口の半分は「若者」である。そんな若さも今後のインドの強みになっていくに違いない。
 インドの各地の小学校では、算数、数学を「好き」にさせる教育が積極的に行われており、教室の子供たちの目が輝いている。ノートも鉛筆ももたせず毎日10分の算数教育をほどこすなど、ユニークな授業もとりいれていて、とにかく自ら「考える」姿勢を重視している。

■今の日本とは大違いである。インドの若者たちの目の輝きは、日本では昭和30年代40年代の若者にあったと、記憶する。まだ貧しかった日本を隆盛に導くのは電子工学であるなどといわれ、多くの秀才が理科系を目指した。
 その後、一応の「成功」をみた日本では、算数、数学など「科学」に対する興味が急速に落ちていった。かわって「感性」とやらが隆盛をきわめ、芸能、娯楽、ゲームなど「享楽」に溺れる若者が目につく。大人も同じである。

■インドでは識字率がなお65パーセントで、大学進学率は7パーセント。教育を受けられない貧困層も多いが、改善の方向に向かっている。貧困層の子供でも頭脳明晰なら浮き上がるシステムができつつあるようだ。
 いろいろと問題が山積しているにせよ、インドが今の勢いでパワーを発揮しつづけると、10年もたたずに日本など完全に「風下」におかれてしまう。自分で考えることを重視するインドとは対照的に、今の日本では画一思考が主流になっている。
 自分の頭で深く考え解決を見いだし、さらに知的に一歩前に進む。数十年前には多くの日本人が当たり前にもっていた姿勢であり、だからこそ「奇蹟の復興」をとげたのだが。
 
■今のままだと、興隆する中国やインドのパワーのなか、日本は一気に沈んでいき、停滞した「老衰国家」になっていくだろう。それでもいいではないか、という人に対しては、何をかいわんや、である。マイナスの要素があるにせよ、エネルギーが沸騰している町や村のほうが、住むには面白いし、生きるに値する。65歳以上が人口の半分になる社会を「停滞」「衰退」ではなく、いぶし銀のような「輝き」をもたらすものにしていくためには、やはり文化・芸術の興隆が必要である税金を、官僚の天下り資金やゼネコンの談合体質などにムダづかいするのではなく、この方面に有効に使ってもらいたいものだ。
by katorishu | 2007-02-13 00:30