コラム


by katorishu
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「ネット広告がテレビCMを超える日」の衝撃 

 7月10日(火)
■日本子守唄協会を訪れ、代表の西館好子さんと話す。脚本アーカイブズの関連で。エネルギッシュで大変頭の回転の速い人だと思った。東北の僻村などに単独で出かけ、お年寄りたちから、いろいろな子守唄を「採取」した体験等々、面白い話をいろいろと聞くことが出来た。

■ぼくの尊敬する劇作家、小説家の井上ひさし氏の前夫人である。井上ひさし文学の下町をあつかった作品は、西館好子さんなしには成立しなかった、と井上ひさし氏自身がエッセーにも書いている。なるほど、と納得した。

■睡眠不足、眼精疲労等々で、目はしょぼしょぼ。鏡に映った顔は受験生のように青白く、原稿も思うように進まない。テレビをつければ、腹立たしいニュースばかり。電車の中などで「ネット広告がテレビCMを超える日」を拾い読み。2011年の地上デジタル放送の実施により、これまでの「TVビジネスモデルが崩壊する」と著者の山崎秀夫氏は書いている。山崎氏は野村総研の研究員で、ネットコミュニティの調査・研究コンサルティングの専門家である。

■氏によれば、視聴スタイルの多様化で「視聴率」という尺度が崩壊するという。それによって放送の質は向上するし、作り手の発表舞台は増えると予測している。インターネット放送がどうも主役を演ずるようで、アメリカではすでにその方向に動き出しており、「テレビ離れ」が進んでいるという。

■日本ではまだテレビを視聴する人は多く、国民の平均視聴時間は1日3時間39分である。高齢者になるほどよく見ており、70歳以上の男性は5時間22分、女性は5時間29分だという。一方、若者の視聴時間は短く20代では男女とも2時間10分前後らしい。(NHK放送文化研究所、05年の国民生活時間報告書)

■やることのない老人がテレビを見ているということか。しかも決まり切った内容の番組を。アメリカは日本と違ってCATVが発達しているので、1世帯あたり平均100チャンネル以上の番組を楽しんでいる。内容も多彩である。ぼくもCATVを主に見ているが、多彩な番組がある。地上波テレビしか見ていない人と、CATVを見ている人とでは、得られる情報にかなりの差が出来るに違いない。

■70歳以上のお年寄りは恐らく目もあまりよくないであろうから、圧倒的多数は書籍はもちろん綜合雑誌や週刊誌も読まないのではないか。彼らの比較的多数が与党支持――であることと、テレビの長時間視聴とは相関関係があるかもしれない。
 比率は少ないながら、高齢になってもなお知的好奇心が強く、向上心にあふれた人もいる。ぼくが日頃接する人は、その類の人が多いのだが。
 一日の平均テレビ視聴時間が5時間を超えるとは……。中には10時間以上見ている人もいるのでしょうね。この人たちは、相次いで訪れるであろう変化の波にどう対応するのか、いささか心配です。
by katorishu | 2007-07-11 02:59 | 文化一般