コラム


by katorishu
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今「ナショナル・ジオグラフィック」が面白い 

 1月6(日)
■ナショナル・ジオグラフィックでドキュメンタリー「アフガンの少年~バーミャンの大仏の上で~」を見た。以前、NHKBSで放送されたものだが、ちゃんと見ていなかったのか、あるいはNHK版は短かったのか、今回見たほうがずっと詳しいという印象だった。
 CS放送のこの枠はBBCの動物番組や海外の犯罪ドキュメントなどもあって、比較的よく見ている。「情報バラエティ」が主体でお手軽に作った番組の多い地上波テレビなど見る気がしなくなる。

■「アフガンの少年」は、9,11事件のあとアメリカ主導の多国籍軍の攻撃やタリバン等によって破壊されたアフガニスタンの姿を、洞窟に住む少年とその一家の目からとらえた秀作である。昔のアフガンは緑豊かで幸せだったと古老は語る。1980年のソ連軍の侵攻以降、アフガニスタンは戦火にあけくれ、タリバンの支配が続いたり、多国籍軍が支配したりした末、現在も混迷の度を強めている。

■しかし、どんなに国が荒廃しようとも、彼の地で生まれ育った人々はそこで生きていかなければならない。「子供は多いほうがいい」と語る少年の父親の言葉は印象的だ。「きっと神様が洞窟から家に一家を導いてくださる」とも語る古老。アフガンの古い音楽のメロディは哀切さを帯びている。一家は貧しいながら力をあわせ明日に希望をもって生きる。
 アフガニスタンと比べ物的には遙かに豊かな日本。心の豊かさ、幸福感ということではどうなのか。

■「です・ます」調べで書こうと思ったが、どうもまだるっこしい気がするので、元にもどそうと思う。
 本日、NHK大河ドラマの第一回「篤姫」を見た。時間が許せば、連続ドラマの第一回は見るようにつとめている。で、見たのだが、出演者の発声がどうも気になり、「学芸会」の印象をもってしまい……途中で見るのをやめた。着物の着方もまるで「外人」が来ているようだし、立ち居振る舞いに「武人」の雰囲気がなさすぎる。心に残る台詞もないし、中高年俳優も太りすぎの人が多い。質実剛健を旨とする薩摩藩士らしくない風貌の人ばかりで、ぼくにはどうもいただけない。

■こう記すと身も蓋もないが、大河ドラマも昔、「樅の木は残った」等を演出した吉田直哉氏のような「実験精神」を発揮してつくらないと、じり貧になるのでは……と思ったことだった。NHKドラマにはテレビドラマの「質の向上」の牽引力になって欲しいので、敢えて記す。

■これに比べると5日夜、NHKFMシアターで放送された上杉祥三氏の脚本・主演のラジオドラマ「嘘と真実」のほうが面白かった。去年、上杉氏からちらっとラジオドラマの脚本を書いたと聞いていた。音楽、演出とも知り合いなので、聞いた。聞き始め1分もたたずに、以前、上杉氏が脚本を書き主演もした舞台に依拠したものであるとわかった。

■楽屋がメイン舞台のコミカルなミステリー作品で、ラジオだとまた別の味わいがあった。脚本・主演というのは小劇場ではよくあることだが、ラジオドラマでは珍しいのではないか。こういう実験作をつくれるのも、ラジオドラマこそである。ラジオ欄に番組タイトルも載らない時代になってしまったが、関係者はしぶとく頑張って、枠を残していってもらいたいもの。

■そういえば竹中平蔵氏が総務相のとき、NHK「改革」の中で、FM放送をなくしてしまう案を提示した。あのまま氏が総務相をつづけていたら、消えていたかもしれない。新会長と経営委員長がともに経済人なので、「ビジネス論理」が最優先される「改革」をやられると、またも削減案が出てくるかもしれないが。「無駄」は削減しなければならず、例えばNHKのBS1とBS2で同じ時間帯に「別のニュース」を流していることがあるが、必要だろうか。紅白歌合戦なども別のものにしたほうがいいと思うのだが。
 ただ、これだけは確実にいえる。「文化・芸術」にかかわることで、ビジネス論理を最優先させると、ロクな結果にはならない。
by katorishu | 2008-01-07 02:28 | 映画演劇