レクラム舎公演「S町の物語」を見た
2008年 01月 28日
■レクラム舎公演「S町の物語」(作・演出 喜一郎)を見た。世田谷区若林の住宅街にある小劇場「スタジオAR」で。東京オリンピックのころのソロバン塾を舞台に展開される。ソロバン塾の成人向けの「特別教室」にやってくる生徒と、ソロバン塾を経営する夫婦の物語が、エピソード風に語られる。
■東京オリンピックは良くも悪くも東京を大きくかえたビッグイベントである。「古い町並」がこわされ「古い人情」も失われていく契機となった。失われてしまったもの象徴としてソロバン塾をとりあげたのは、よかったのではないか。語り手が平成20年の今にたって、往事を回顧するといった形式。歌あり、はちゃめちゃな相撲ありで、お客をあきさせない工夫が随所に凝らしてあり、楽しめた。
■欲をいえば、エピソード風の展開のせいか、ドラマがもうひとつ煮詰り凝縮していかないキライがあった。さらに再演、再々演を重ねるうち、完成度を高めていけばいいのではないか。
一功さんのエネルギッシュな活動には改めてエールをおくりたい。去年誕生した子供が20歳になるとき、一功さんは75歳になるという。それまで頑張って、生涯現役をつらぬいて欲しいものだ。