コラム


by katorishu
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見廻せば暗いニュースばかり

1月29日(火)
■世の中、暗い話ばかりで憂鬱になる。澁谷、六本木で、ともに仕事の打ち合わせ。木漏れ日のように、うっすらとでも明るい光が差してくるドラマを創りたいのだが。まず企画を通さなければならない。これが難事である。このところ心身ともに疲れていて、脳の働きも悪化、要注意である。

■本日、打ち合わせの席で還暦になるテレビ関係者の某氏がつい数日前、亡くなったと聞いた。去年、知り合いの音楽家の通夜の席で久しぶりに顔をあわせたとき元気そうであり二三言葉をかわした。以前に比べてずいぶん痩せていたので、ダイエットをしたのかと思っていたが、そうではなく糖尿病であったらしい。

■自分の周囲を見ただけでも心配事ばかりだが、世界を見廻すと懸念・不安材料ばかりが目立つ。インドネシアで鳥インフルエンザにより2人が死亡し、初めて100人に達したという。鳥インフルエンザは死亡率も高く、いったん流行したら手がつけられなくなる。危険な兆候とみなすべきだろう。北京オリンピックは場合によっては鳥インフルエンザの流行で中止になる……といって記事がいつぞやの週刊誌に載っていた。要注意である。

■中国で50年ぶりの大雪で死者24人、緊急避難82万人以上になったというニュースもある。地上の気候が狂いだしているのである。更に、アメリカのプライムローンに端を発した世界経済不況も深刻化しそうで、ジョージ・ソロスなど「第二次世界大戦後、最大の経済危機である」と発言したとか。ブッシュ政権はさまざまに手をうっているが、日本政府は手をこまねいているといった状況だ。

■自然環境と経済は、人が生きていく上で大変大事な要素である。目下の急務は経済である。「金、金、金といいすぎる。もっと精神的に豊かにならなければ」と真っ正面からお説教めいていう人に限って、「日々の生活に困らない」人が多い。彼らは言葉だけで、困っている人に援助の手をさしのべたり、汗を流したりしない。「困っている人」や「困っている人の実情をよく知っている」人は、そう簡単に「お金などに執着せず精神的に豊かにならなければ」などといわないものである。

■本日、新橋駅で乗り換えるとき、地下通路に中年女性のホームレスが横たわっていた。着ているものが新しいので「新参者」かもしれない。「普通のオバサン」という印象の人が通路に寝ている姿は、以前には見かけなかった。厳しい寒さの中、凍死するホームレスも多いにちがいない。警察では「行き倒れ」として収容しニュースにもならない。自殺も多すぎて、こちらも一部著名人をのぞいてニュースにもならなくなってしまった。
 
■憂うべき事態が、目に見えないところで進行しているようだ。以前から、現代は昭和初年に似ているといわれていたが、世界経済不況の深刻化を前にして、更に似てきた――と思えてきた。戦前のような情報統制はないし、軍部独裁もないので、「二の舞」を演じることはないと思うが、多くの国民は新たな危機に見舞われるかもしれない。

■「貧民」が増えているのに対して「富裕層」がいる。某氏の話では、ぼくも知っている某新興実業家H氏が自由に「小遣い」として使える個人名の預金に〇がいくつもならんでおり、数字を見て最初いくらか判断がつかなかったが、ようやく50億円であるとわかったという。数年前のことだが、驚きである。自分で創業した会社を売って得た「創業者利益」が莫大なのだろう。高卒でたたきあげてリッチになった「立志伝中」の人といってよいだろう。7年ほど前、一部マスコミ等で知られる前、H氏はぼくに直接こういった。「ぼくは3000億円の金を動かせる。ただ、胸にぽっかり穴が空いている」

■正規の社員、職員のなかにも、最近、鬱病が急増している、と本日、テレビ局員の某氏から聞いた。生きづらくなっている人が急増しているのである。多くの人々の欲求不満が募り、やがて沸点に達する可能性もあり、どういうことになるのか気になる。恐らく鬱の周期にはいっているので、余計に「暗く」見えてしまうのかもしれないが。さて、気をとりなおして締め切りが迫っている原稿に向かおう。ほとんど毎晩(毎朝か)机に向かいながら、新聞の朝刊が新聞受けに投げ込まれる音を聞く。以前、新聞の集金人がカミサンにこういったそうだ。「オタクは早起きなんですねエ。いつも朝早くから電気がついている」なるほど、世間にはそう見えてしまうのか。この種のことをしばしば体験する。 
by katorishu | 2008-01-30 00:01