コラム


by katorishu
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未成年者への携帯の規制、フィルタリングについて

 2月23日(土)
■携帯大手3社が未成年者の携帯サイトへのアクセスに規制をかけることになった、と過日新聞でも報じられた。「有害サイト」へ未成年者がアクセスし、それが犯罪に結びついているので、規制を加えなくてはということのようだ。

■業界では規制のことを「フィルタリング」といっているようだ。携帯3社は今後、新規契約者が20歳未満(ソフトバンクは18歳未満)、親権者がフィルタリングサービスを使わないことに同意しない限り、フィルタリングを設定するとのこと。

■このフィルタリングを適用すると、ケータイ小説も読めなくなるらしい。携帯サイトの「魔法のiらんど」の会員数は570万人で、その6割が中高生と20代前半の若者であるという。こうしたフィルタリングが実施されると「若者文化」が失われるという意見がある。
 一方、中高生が一日に携帯に接している時間が平均3時間という調査もある。知り合いの子供が最近、携帯の通話料に3万も使ったとか、ある人は娘の携帯料金が8万にもなって驚き呆れ怒ったとの話も聞いた。怒ったものの、結局親が払ったようだ。

■払う親も親だと思うが、携帯にかける時間と費用が気になる。それだけの時間と金を使えば、ほかに「まわす」分が減るというのは、算数の常識である。とくに携帯をいじっている時間が一日平均3時間というのは、暇をもてあましている老人ならともかく、中高生にはいかにも多すぎる。中高生は、いろいろな知識や物事の考え方の基礎を学ぶべきときで、この時期にしっかりした思考力や基礎知識をつける、つけないが、その後の人生に大きく影響する。脳が柔軟で吸収力のあるときに、基礎の基礎を植え付けることが、どんなに大事なことか。若者の多くは、あまりわかっていないようだ。

■ケータイ小説やメールの交換に長時間使えば、脳を鍛える時間が減る。それが問題である。携帯を使用すること自体は、悪くないと思うが、それによって「その時期に学ぶべきこと」を学んでいないことが、問題なのである。
 最近、大学の教官がよく「近頃の新入生は基礎知識がなさすぎる」「自己主張だけはうまいが、説得力に欠ける」「国語力がまるでなく、単語を知らなすぎる」といっており、ぼく自身、彼らから直接耳にする。

■少子化で競争がなくなり、大学の敷居が低くなったことも影響しているのだろうが、本を読む時間の少なさが一因であると思う。
 もともと本を読まないのに、携帯に費やす時間が増え、ますます本を読まず、自分の頭で思考することが出来なくなる。出来なくなっていることを、当人は自覚していないようでもある。

■携帯やその関連企業で利益をあげているところには、申し訳ないが、日本の文化水準を劣化させないためにも、中高生への携帯のフィルタリング、つまり規制は必要である、と思う。お年寄りなどは、脳の劣化をふせぐために、どんどん使ったほうがいいとは思うが。

■ただ、脳の劣化を防ぐというのなら、活字を読んだり、声を出して読んだりしたり、直接人と会って話したりしたほうが、はるかに効果的である。人間、楽をすると諸機能が劣化する。このことを、忘れてはいけないのだろう。「若いときは苦労を買ってでもしろ」と昔の人はいいことをいった。
by katorishu | 2008-02-23 21:49 | 文化一般