コラム


by katorishu
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江戸時代に学ぶべき点が多い

 5月17日(土)
■このところずっと新聞の一面トップで報じられている四川大地震。四川省だけで校舎6900棟が倒壊したという。強烈な地震であったことはわかるが、多くが違法建築であった可能性も強く当局が調査にはいるとか。役人と業者の癒着で手抜きが行われていたのではないか、と中国国内のメディアでさえ指摘している。

■阪神淡路大地震のときも、高速道路の工事の一部でゼネコンの手抜き工事があったことがわかった、と記憶している。急速に成長した経済のもと、貧富の格差があまりにも多いと、「モラル」も損なわれるはずで、この大地震が中国共産党、政府にあたえる影響は大変大きいと思う。バブル時代に建てられた日本のマンションなどにも手抜きは多いはずで、日本も対岸の火事と見ていてはいけないのだろう。

■天変地異とは別に、食糧価格高騰も深刻である。世界的な食料価格の高騰は一時的なものではなく、今後も続く、とニューズウイークなどが特集している。その中で、改善のための処方箋として、「雑食動物のジレンマ」を書いたマイケル・ポーラン・カリフォルニア大学教授は、アメリカがエタノール製造の補助金を撤廃し、ブラジル産エタノールに対する関税を撤廃することだと指摘する。

■どういうことかというと、食料価格の高騰をもたらしたのは、ブッシュ政権が06年にアメリカ産トウモロコシを原料としてエタノールを自動車燃料として普及させようとした政策にあるとう。
 この政策によってトウモロコシ価格が上昇した。そこでアメリカの農家が大豆や小麦のかわりにトウモロコシの作付け面積を増やした結果、穀物が不足気味になり高騰につながったのだという。

■バイオ燃料は環境によいから、という「正しそう」に見えることでも、別の見方をすると、害悪をもたらす典型例である。食糧高騰で今後、貧しい国、貧しい層の人々が饑餓に苦しむことになる。マイケル・ポーランによれば、現在、農業の「産業化」により、食物のエネルギー1キロカロリーを作り出すには、10キロカロリー分の化石燃料が必要になっているという。1キロの牛肉を生産するのに10キロの穀物が必要とされるのと、同じ理屈である。

■世界の穀物の大半は、人間が食べるためではなく、人間が食べる動物を育てる餌になっているという。もし穀物を食肉生産に使わなければ世界中の人々に十分な量を確保できるという。放牧など昔ながらの食肉類の育て方に比重をうつせば、食料危機は解消するのだが。
 毎日のように肉を食べないと気がすまない人間の増加が、食料危機を促進させつつある。肉食をほとんどしなかった江戸時代の人に学ぶべき点が、ここにもある。
by katorishu | 2008-05-17 15:12 | 文化一般