コラム


by katorishu
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経済の落ち込みが深刻な中、映画「コレラの時代の愛」を見た

 8月13日(水)
■テレビでは連日、北京オリンピックの放送をつづけ新聞も一面トップで、日本人選手の活躍を伝えている。それはそれで結構なことだが、今、世界をおおっている「経済停滞」という、ただならぬ状況を忘れてもらっては困る、と「お盆休み」などもとれずに、あくせく仕事をしているビジネスマンや中小零細の経営者は思っているのではないか。

■ローソクが燃え尽きる前、一瞬輝きをます。世界にむけて中国の存在感をアピールさせようと、このオリンピックを企画した中国首脳たちの思惑とはちがって、どうもこのオリンピックはローソクの炎が燃え尽きる寸前の輝きである可能性が強い。オリンピック後に確実にやってくるに違いない中国経済の停滞は、すでに病んでいる日本にも深刻な影響を与えるに違いない。

■日本政府はなりふりかまわず補正予算などの、一時しのぎの財政出動で、経済の落ち込みを防ごうとしているが、総選挙目当ての場当たり的な政策では、この危機は救えないだろう。
 では、どうしたらいいのか。適当な処方箋はないといっていい。それくらい、アメリカを主導とする世界経済は病んでいる。

■最近、電車の遅れが目立つ。多くは「人身事故」、つまり鉄道自殺者である。経済が病めば、心も病む。仕事に一段落がついたので、脳を休ませるため日比谷のシャンテシネマでガルシア・マルケス原作の映画『コレラの時代の愛』を見た。期待にたがわず、傑作である。「単館上映」なので、見た人は少ないと思うが、まさに映画ならではの、人間の「愛」の奥深さを描いていて、感嘆した。

■この映画については、後日、このブログで記したい。簡単に記せる類の作品ではないので。ほとんどの日本映画は、とうていこの域におよばない。役者も演出も、そのほかもろもろ、格段の差である。あるいは「玄人向き」かもしれず、「学芸会的映画」を見慣れた人には、面白くないと思えるかもしれないが。省略は多いが、難解ではない。ガルシア・マルケスの作品の味を、かなりうまく描きこんだといえるのではないか。今月9日より上映がはじまったばかりなので、ぜひご覧になられんことを。映画館で見ないと、この作の良さを十分味わえないのではないか。映画はぜひ映画館で「料金を払って」見ることをおすすめしたい。
by katorishu | 2008-08-14 02:09 | 映画演劇