コラム


by katorishu
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記録の保存(アーカイブズ)こそ文化の源泉 

 
12月6日(土)
■脚本アーカイブズの研究会と、それにつづく会議に出席。研究会の講師は堤真良氏。堤氏は1968年生まれで元経産相のキャリア官僚で東京国際映画祭の事務局長などをつとめたあと、現在は早稲田大学の准教授。「テレビ進化論」の著者であり、テレビと通信の微妙な関係について一時間ほど話し、そのあと質疑応答ということになった。

■文化庁と経産省、総務省の関係についてわかりやすく説明してくれた。霞ヶ関のキャリア官僚の「生き方」「生活哲学」についても興味深い話をしてくれた。官僚との付きあい方についても、アドバイスを受け、なるほど、と思ったことだった。彼らの目に映る「日本社会」とわれわれ物書きの目に映る「日本社会」は、かなり違うようだ。いずれにしても、最近めずらしく密度の濃い時間をすごした。

■すでに「テレビの次」に関係者の関心はいっている。「次」が具体的にどのようなものになるか、いまだ姿が定まらない。模索するなかから、新しい文化が生まれるのかどうか。主導権を握るのは「マス」である。受け手といってもいい。受け手のレベルが向上しなければ、作品のレベルもあがらない。レベル向上のための「秘策」がなくもない。そのための調査研究への支援を霞ヶ関に要請しているのだが、さてどういうことになりますか。

■夜になって急に寒くなった。ホームレスの人たちがこの寒さにどう耐えているか気になる。以前、新宿の中央公園に「住む」ホームレスに「すいとん」を作って支援しているミュージシャンの津田さんに誘われ「すいとん作り」を体験した。5000円で300人のホームレスに暖かい朝食をだすことができるという。「冬になるとよく凍死しているホームレスがいますよ。新聞記事にもなりませんけど」と津田さんは話していた。津田さんのホームレスへの朝食支援は毎週木曜日であったと記憶しているが、いまも津田さんはボランティア活動をつづけているのだろうか。

■津田さんはハリウッドでマッサージ師をしたあと、ハーレムにうつってで音楽活動を行い、さらにアフリカのケニアに飛んだ。そこで食料支援などのボランティア活動をしていたが、新宿のホームレスのビデオを見た現地の指導者から、「日本にホームレスがいるとは驚いた。きみはアフリカで支援活動をするより、自分の国で支援活動をするべき」といわれて日本に帰り、新宿のホームレス支援にかかわるようになったのである。

■じっさいに「すいとん」をつくり200人ほどのホームレスに暖かいすいとんをだす作業を手伝いながら、いろいろなことを思った。寒くなると、精気のない顔で並んでいたホームレスの人たちの顔が浮かぶ。この冬はホームレスないし、その寸前にある人がかつてなく急増するのではないか。2兆円の給付金などは、こういう人には届かない。愚策を繰り返す政権に怒りを覚える。
by katorishu | 2008-12-07 02:20 | 文化一般