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 4月30日(月)
■天気が良かったので、久しぶりに天王洲アイルまで歩いた。10分ほどの距離だが、極めて人工的な空間なので、ぼくにはあまりなじめず、こちらに足を伸ばすことはすくなく、旧東海道のほうに足が自然に向いてしまう。
 途中にフジテレビ別館と日本航空の本社ビルがある。フジテレビ別館には例の「あるある大事典」で問題になったフジの子会社「テレワーク」がはいっている。日本航空もいろいろと問題をかかえているようで、一頃の「超優良企業」が嘘のようだ。

■明日5月1日発売の総合雑誌『論座』(朝日新聞社刊)に拙作の連載ノンフィクション『妖花』の第一回が掲載される。写真のようなものです。興味のある方はぜひ読んでみてください。
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 昭和初期、日本の芸能界に彗星のように現れ「モダンガール」「イット女優」「妖花」「スキャンダル女優」などといわれた竹久千恵子の半生に迫るものです。竹久千恵子は06年9月、94歳でハワイ島で大往生をとげました。「暗い」といわれる昭和初期、鮮やかな閃光を描くように出現した異色の女優です。
by katorishu | 2007-04-30 23:46 | 映画演劇
 4月29(日)
■京橋のフィルムセンターで黒木和雄監督の『日本の悪霊』を見た。去年亡くなった今村昌平・黒木和雄両監督の追悼特集が、6月初めまで毎日行われている。
 この映画の撮影を担当した知り合いの堀田カメラマンの映画第一作作品でもあると聞いて、ぜひ見てみたいと思った。昨日、咳がひどく夜も絶えず咳の発作で、本日一日寝ているしかないかと思っていたところ、お昼頃目をさますと、咳がおさまっていたのでカミサンともども足を運ぶことにした。

■昔新宿のアートシアターで封切られた作品で、「大阪万博」の話などもでてくる。原作は高橋和己の同名の小説で、福田善之が脚色した。主役は異能の俳優、佐藤慶。本庁から捜査に所轄に出向いた刑事と、本部のヤクザ組織から小さなはヤクザ組織に派遣された男の二役を演じている。ヤクザの男は学生運動の過去をもち、刑事の「入れ替わり」を受け容れる。この映画が制作された当時、新左翼の人達が賞賛する高橋和己原作ということで、重苦しい作品ではないかと思い、時間がなかったこともあり、見なかった。

■今回、拝見し、案外コミカルな味わいのある「諷刺劇」であることを知った。当時、人気絶頂であったフォーク歌手、岡林信康が随所で世相や政治を皮肉る歌を歌い、暗黒舞踏の土方巽が出演するほか、早稲田小劇場の異色の役者たちが数多く登場する。アングラ的雰囲気も背景に漂っている。ホールも9割の席が埋まっていた。
 堀田さんの話では、『日本の悪霊』は制作者の著作権の関係でその後、ビデオ化などもできなかったのだが、3年前、制作者が亡くなったこともあって、OKになったのだという。高橋和己はドストエフスキーの『悪霊』を下敷きにして書いたはずで、それも興味深かった。

■殿山泰二がちょっと顔を出すほか、「著名役者」としては佐藤慶と観世栄夫だけで、ほかは「無名」の役者ばかり。それがかえってリアリティがあり、面白かった。当時の早稲田小劇場には、こんな個性の強い役者がいたのだなあと思った。こういう中から異能の俳優、白石加代子が出てきたのである。怪優というにふさわしい人も多かった。
 モノクロフィルムの90分の作品。低予算であったため、現場ではいろいろと苦労があったようだ。
 ぼくはフィルム・センターのニュースレターに「映画とカネの悩ましい関係」というエッセーを書いたが、堀田さんも読んでいて「香取さんのいう通りです」とのこと。今も昔も、映画監督の頭の半分を占めているのは、オカネである。

■黒木監督は前作『キューバの恋人』が興行的に失敗し、大借金をつくった。『日本の悪霊』の撮影のときは、ヤクザ風の借金取りが何度もやってきて、大変な思いをしながら撮りつづけたそうだ。黒木監督の夫人とお嬢さんが見に来ていて、終わって立ち話。堀田夫人の女優の松岡みどりさんはこの映画で助監督をつとめた後藤監督と俳優養成所時代の同期であるという。作家の中村真一郎氏夫人もまじえ、堀田夫妻とぼく、カミサンの5人で銀座ライオンで軽くビールを飲みつつ歓談。
 堀田さんは映画第一作であったので、夢中で監督にいわれるまま撮ったということだが、カメラワークも悪くない。モノクロフィルムの良さが出ている意欲作といっていいだろう。

■『日本の悪霊』は発表当時、映画評論家の佐藤忠男氏から「失敗作」といわれたとのことだが、そうかなと思った。ぼくには充分面白く、今に通じるものをもっていると思えた。出所してくるヤクザの親分を演じたのは早稲田小劇場の高橋辰夫。この人のコミカルな演技と独特の存在感は強く印象に残った。その後、この「異能」の俳優は自殺をしてしまったという。生きていれば、個性あるバイプレーヤーとして独特の存在感を示したにちがいない。昭和初年の浅草あたりに、こういう役者がいたのでは――と感じさせてくれる。
 この映画に出ていた他の役者もその後、自殺をしてしまったとか。繊細な神経の持ち主にとって、いつの時代も生きにくい。

■賢くてソツのない官僚や大企業のホワイトカラーなどより、社会からはずれたヤクザ者や中小零細で悪戦苦闘している人間のほうがはるかに面白いし、人間的である。とくに「はみだし者」には「はみだし者」の良さがある。もっとも身近にそんな人がいると、厄介ではあるだろうが。
 40年近く前の作品の内容が、あまり「古くなっていない」ということに、驚くと同時に、今という時代の歪みについて思いがいった。そうして映画は時代を映し出す鏡であるとあらためて思ったことだった。帰宅してまた少し咳が出たが、京橋まで出向いてよかった。明日から毎日10数時間、執筆に費やす日々が続くことになるので、しばしの息抜きになった。
by katorishu | 2007-04-30 03:22 | 映画演劇
 4月28日(土)
■テレビ番組の中ではCS放送の朝日ニュースターを最近では一番よく見る。討論番組や対談番組が多く、時間をかけて関係者の話を聞いたりつっこんだ話し合いがある。総合雑誌を読むような面白さに通じるのである。
 本日の放送で、アメリカ人の立教大学教授が「悪の枢軸」ならぬ排気ガスについての「悪の枢軸」は、サウジとロシア、中国、そしてブッシュのアメリカであると指摘していた。

■過日開かれた温暖化に関する国際会議ICPPで上記の国々の代表が、最終報告書を作成する段階で横やりをいれ、専門家が怒って席をたつようなこともあったという。従って過日発表された報告書は一部圧力に屈し、かなりトーンダウンしたものとなった。それでも、2080年ごろにはかなり危機的状況がやってくるとしている。

■ところで、デンマークでは電力の3割を風力でやっている。日本は効率のよい車のエンジンとか、環境に「優しい」国であると指導者は自画自賛しているが、EU諸国に比べるとまだ甘いし、安倍政権は「(廃ガスの)悪の枢軸」のブッシュ政権にすりよっている。経団連なども同様である。先進国がGDPの1パーセントを環境対策に使えばまだ回復可能だということだが、ほとんどの国はそれをしない。

■午後、高田馬場でシナリオ教室の講義。咳がでて困った。折しも、雷がひびきものすごい雨であったようだ。講義が終わるころには雨もやんだが、咳がつづく。
 帰路、山手線の大崎駅で下車し、駅に続くインテリジェントビルの3階にあるコーヒー店で、駅を舞台にしたごく短い掌編小説を書いた。会話が9割ほどで、ヤクザものの父親と健気な娘が5年ぶりに大崎駅で出会うことが発端。2時間ほどで完成。帰宅して1時間ほど推敲をしたが。しばらく短編小説から遠ざかっていたが、感触を取り戻しつつある。

■明日から「ゴールデンウイーク」だが、ぼくには無縁である。勤めていたときでも、ゴールデンウイークにほとんど休んだことがなかったし、どうも国民が一斉に休んだり「民族移動」をすることとは縁のない生活をしてきた。「世間」からやや距離を置いて、「愚かしさが7割」としか思えない人間の「生活」を観察しつつ、これを素材に「カタチ」にしていきたいものだ。あわせて「新しい発表」の舞台作りにもエネルギーを注がないと。で、相も変わらず「貧乏暇なし」が続く。
by katorishu | 2007-04-29 01:52
 4月27日(金)
■BBCの放送で、アムネスティインターナショナルの関係者が、世界の3分の2の国では死刑が廃止されていると語っていた。最近、日本で3人の死刑囚が死刑を執行されたと新聞の一面にでていた。

■世界的には死刑をやめようという方向にっているなかで、アジアでは死刑制度を維持している国が多い。日本でも最近、死刑執行が増えているという気がする。
 世界で一番死刑執行が多い国は中国で、公表では1100名ほどだが、実質は7,8千名が毎年死刑で殺されている、とアムネスティの関係者は語っていた。中国に特別に凶悪犯が多いとは思えない。人口は日本の10倍だが、7,8千人が殺されるというのは、いかにも多い。死刑囚の臓器が売買されているといったニュースも流れてくる。

■政治犯、思想犯などの死刑も中国には多いはずで、ほかの国であったらなんでもないことが逮捕につながり、死刑になる。「封建的残滓」を色濃く残しており、人命軽視の空気が色濃いのだろう。文化大革命の際、毛沢東はじめ「四人組」に反する大変の数の国民が徹底的に弾圧された。殺された数も膨大で、1000万単位にのぼる。そんなマイナスの体験をひきづった、当時の中学高校生が今、50代、60代になっている。

■とにかく「官(党)」が「お上」であり、「寄らしむべき、知らしむべし」という政策が依然として続いている。ロシアも官僚統制を強めているし、言論の自由がせばめられつつある。日本もその傾向がでてきており、かなり危ない状況になりつつある。
 本日は放送作家協会の理事会。
by katorishu | 2007-04-28 03:01
 4月26日(木)
■ごく短い短編を最近2編書いた。山手線を舞台にしたもので、発表の舞台は、「実験的な」もので、まだどうなるかわからない。試行錯誤である。
 図書館に久しぶりにいったが、人が少なかった。連休を前に、みんな仕事に忙しいのか、あるいは連休の遊び方に思いをやっているのか。

■途中の荏原神社のこんもり茂った木が目の保養になり、気持ちをいやしてくれる。この界隈が昔の品川宿であり、現在、品川駅のあるあたりは「はずれ」であった。現に品川駅の住居表示は港区である。緑の少ない地域に住んでいるので、こんな神社や寺にわずかに残っている「自然」にしばし、心が休む。

■人間については「美しい」と思える人は少ないが、動物や植物はほんとが「美しい」。若葉の季節の植物は、ひとつひとつが「芸術作品」といってもいいくらいだ。こういう「美しい」ものを根絶やしにして、「美しい国」もないと思うのだが。

■情報誌「選択」によると、名古屋の「食肉利権」にからんで、東京地検と警視庁、国税の「連合軍」が深く静かに捜査にはいったようだ。農水利権や事務所経費の問題でマスコミをにぎわせている松岡農水相は「本命」であると検察関係者がもらしている。
 安倍首相が権力を行使して特捜の動きをストップさせるようなことがあったら、この政権は終わりである。松岡大臣の食肉利権は以前から知られているが、さらに林野利権もあるらしい。

■利権の癒着に、捜査する側の愛知県警の幹部もからんでいるらしい。底なしの泥沼である。そのため、警視庁から直接捜査員が乗り込んでいるそうだ。「水谷建設」「同和」「アングラ組織」「愛知県警」などがからんだ一大汚職に発展する可能性がある。ゼネコンの動きも無縁ではない。ただ、参議院選挙の前に特捜は踏み切るかどうか。選挙への影響を配慮して、選挙後――ということになるのだろう。
 そうして、もし選挙で与党が勝ったら、特捜の動きがとたんに鈍くなることも、予想される。すべて税金の無駄づかいにつながるものである。特捜は頑張って徹底的に積年の膿を出してもらいたいものだ。
by katorishu | 2007-04-27 03:27
 4月25日(水)
■数日来の寒さで、風邪をひいてしまったようだ。喉が痛く、頭も痛い。日本橋でマーケティング関係者を前にちょっとした「ミニ講演」。人を感動させ、引きつけるためには、どうしたらいいか。日頃考えていることなどを1時間ほど話し、その後雑談。

■ものが余っている時代、みんなものを売ることに苦労している。若年層の少なさも原因なのだろう。以前、知り合いの大学教授が「今、一番の苦労は学生をどうやって集めるかである」と語っていた。都心にある知名度の高い大学はともかく、郊外にあったり、千葉や埼玉にある新興大学は、学生集めに懸命のようだ。なにがなんでも一定数の学生を集められない大学はいずれ廃校になる。企業にしても同じである。

■ものが余っているのなら、作らなければいいという理屈も成り立つが、それで「食べている」人はカスミを食べるわけにいかないので、なんとかしようと必死になる。「天下り」等々、税金を合法的に自分たちのものにするシステムをつくり、そこに安住している人には、実感がないだろう。社会保険庁などの公費の膨大な無駄づかいも、責任追及が曖昧なまま終わっている。役人およびこれをとりまく人たちの餌にされてしまったようだ。

■表面的には相変わらず繁栄をつづけいるように見える日本というシステムは、どんづまりにきている。世界もどんづまりにきているのだが、権力者、為政者はどれほど深刻に考えているだろう。ゆっくりと忍び寄るようにカタストロフが近づいている。現行のシステムの恩恵を受けていない人は敏感に肌で感じている。霧の向こうにカタストロフという「氷山」があるのだが、システムの恩恵にあずかっている人にはなかなか見えていない。いや、見ようとしない。はっきり見えたときでは決定的に遅いのだが。
by katorishu | 2007-04-26 01:44
4月24日(火)
■国や組織にあてはまる普遍的「原理」として、その組織の「強み」であったものが時間の経過とともに組織の足をひっぱる「弱み」となり、組織(国)の没落の原因となる。ローマ帝国はその典型例だが、現代の超大国アメリカも「他に並ぶものなき強大な軍事力」で世界ににらみをきかせていたのだが、強者の驕りで軍事力を過信しイラク戦争にのめりこんだ。すでにこの戦争の失敗は明らかで、強さが凋落の引き金になろうとしている。

■じっさい膨大な軍事費はアメリカの国家財政をむしばんでいき、今後にっちもさっちもいかない事態になるに違いない。アメリカの指導者が、なんらかの形で「財政負担」を日本に肩代わりさせようともくろんでいることは容易に想像できる。近く行われる安倍首相の訪米で、そんなことも密かに話し合われるのではないか。

■このほど、日米中の三カ国の高校生の意欲調査なるものが行われたが、「出世意欲」で日本は断トツ最下位という結果がでた。財団法人「日本青少年研究所」(千石保理事長)の「高校生の意欲に関する調査-日米中韓の比較」で、06年10月~12月、日米中韓の高校生計5676人を対象に実施された。

■毎日新聞ウエブ版によれば、「偉くなりたいか」という問いに、「強くそう思う」と答えた高校生は中国34.4%▽韓国22.9%▽米国22.3%に対して、日本はわずか8.0%。卒業後の進路への考えを一つ選ぶ質問では、「国内の一流大学に進学したい」を選択した生徒は、他の3国が37.8~24.7%だったのに対し、日本は20.4%。 将来就きたい職業(複数回答)では、日本は99年調査よりも弁護士や裁判官、大学教授、研究者の割合が低下。特に、公務員は前回の31・7%から大幅減となる9.2%だった。逆に「分からない」を選んだ生徒が6.2ポイント増の9.9%になったということだ。

■千石理事長は調査結果について、今の高校生が食べることに困らなくなり『偉くなりたい』という意欲がなくなってきていると、分析している。要するに意欲や若さが減退しているのである。まるで老人のような若者が増えているということか。戦後の日本の強みであった経済が、結果として意欲のない若者を多く生み出していると解釈すべきだろう。
 
■恐らく高校生の多くは将来も現在の生活が続くものと漠然と思っているのだろう。現在、「結構な年金」をもらい「結構な貯蓄」をしている年金生活者にしても、同じである。
 現在、世界は激しく動いており、10年後、20年後、どうなっているかわかったものではない。歴史をひもとけば一目瞭然であるが、現状肯定、現状維持にきゅうきゅうとする人は、激変の時代は凋落の憂き目を見る可能性が強い。
中国の清朝の時代、社会の特権にアグラをかいていた官僚たちは、短期間に中華帝国が凋落していくとは、夢にも思わなかったはずである。しかし、事実そうなった。

■少子高齢化が極端に進む日本も、激変の嵐のまっただ中に巻き込まれる。現行のシステムがそのまま続いているという保証など、どこにもないのである。この世は常ならず。無常が今も昔も生き物の営みの本質である。良い悪いに限らず、「嵐」が寄せてくる。嵐に耐える体力を保持し、対策に知恵をしぼり、人事を尽くして天命を待つ。そんな時代に入ったと解釈したほうがいい。

■近い時代に第三次世界大戦のようなものが起こる可能性は低いが、天然資源の争奪戦がいろいろなところで起こり、石油資源も枯渇するだろう。そうなると、石油資源の大量消費の上に成り立つ「文明」は危い。
 アメリカは今後、世界の憲兵であることから手をひかざるを得ないだろう。アメリカが退いたところにイスラム国家群が出てくるか、あるいは中国、インドなどが出てくるか、予想は出来ない。

■はっきりしていることは、資源獲得競争が熾烈になることである。次代を担う日本の高校生の覇気のなさを見ていると、日本はこの先、大丈夫なのかと心配になる。なにも我欲をだせとか、欲望ぎらぎらにせよ、などといっているのではない。若者の特権は、実現するかしないかは別にして「夢」や「希望」にむかって、欲求不満をエネルギーにして突っ走ることである。そこから何か新しいものが生まれてくるはずなのだが、今回の調査結果を見ると、なんとなく安閑としている姿勢が目立つ。それが未だに「欲求不満のエネルギー」を燃やしているぼくなどには、ひどく気になるのである。
by katorishu | 2007-04-25 00:17
 4月23日(月)
■ぼくの仕事を手伝ってくれる人を、教え子のK嬢を通じてミクシイで募集したところ、何人かの応募があり、昨日、今日と面接した。昨日会った人は劇作と演出をやっていて、実際に小劇場などの公演を経験しており、映像のシナリオなどを書きたいと思っている女性。本日は19歳の小説家志望者。といってもすでに雑誌に短編を発表したりしているとのこと。ともに1時間ほど話をしたが、二人ともしっかりしており「合格」である。

■本日会った19歳の青年は最近の芥川賞の受賞作のような作にはむしろ距離を感じるといい、森鴎外や太宰治、三島由紀夫などをよく読んでいるという。まだちゃんと読んでいないが参考までにと持ってきた短編の文章もしっかりしている。ぼくも19のころから書いているが、どんなであったか、振り返ったことだった。

■当初、作業に対して給料などは出せないが、かわりにぼくのもっている情報や書くテクニック等々、プロの物書きとして役に立つことを「教える」。そうして、「共同」で新しい発表の「舞台」を創出していけたらいいと思っている。明日、もう一人、学生に会う。
「激変の時代」なので、既存の枠の中になんとかして入り込もうというのではなく、インターネットをうまく利用して新しい「舞台」をこちらで創り出せないものか、と目下、関係者と試行錯誤中である。

■本日ウエブ上のニュースで、都立校の教師が卒業生2757人分の個人情報紛失したとのこと。都立竹台高校(荒川区)に勤務していた男性教諭(40)が、同校の卒業生の通知表や定期試験の結果などの個人情報を保存した小型記録媒体・USBメモリーを紛失したという。
 教諭は今月、竹台高から異動したばかりで、「情報」の教科担当していた。毎日新聞ウエブ版によれば『彼は異動前に同僚から書類の様式を新入生用に改めるよう依頼され、今月15日に同高のパソコンからメモリーにデータを移し、自宅で作業しようとしていたという。19日夜、帰宅中のJR山手線列車内でメモリーを入れたリュックサックを忘れた』という。翌日に西日暮里駅でリュックは見つかったが、メモリーはなくなっていた。

■電車の中に忘れ物をすることはありがちなことだが、リュックサックを忘れたということは、酒でも飲んでいたのかどうか。軽率そのものである。ぼくも本などを忘れることはあり、慎重でいて軽率なところがあるのでケアレスミスも多いが、「重要」と思われるものを保持している場合、かなり緊張しており、これまで紛失したりしたことはない。

■その教諭は魔が差したのかどうか。誰かのもとに情報がわたったということである。自衛隊でもこれまで軍事機密情報がパソコンのウイニーを通じて流れたりしており、デジタル化することで大量の情報が部外者に容易に漏れるようになった。
 中には取り返しのつかない情報もあるはずで、そんな情報を扱う立場にある人間は、くれぐれも注意をすると同時に、たとえ関係者でも部外に持ち出せないよう管理側としても危険回避のシステムを構築する必要がある。 住民台帳などもそうだが、情報を一カ所に集中させることの危険性について、関係者は深く考えてもらいたいものだ。
by katorishu | 2007-04-24 01:19

驚くべきロシアの現実

 4月22日(日)
■プーチン政権のロシアは言論統制を強め、すでに警察国家になったといっていいだろう。国家保安委員会(KGB)出身のプーチン大統領の出現のとき危惧されたことが、現実になりつつあるようだ。過日もモスクワ他での政府批判デモを特殊部隊が鎮圧したり、あからさまな言論弾圧が目立つ。

■テレビや新聞などのマスコミのほとんどは、プーチン政権に迎合的な人間の手にわたってしまった。豊かな地下資源を海外に売ったりすることで、ロシアはソ連崩壊後、最大の「好景気」を迎えているが、その恩恵にあずかれるのは、都市部の人間やプーチン政権のとりまきなど、一部に限られている。格差も日本やアメリカなどと同様ひろがり、貧困層を中心に現世に夢や希望を描けない層も増えているようで、そんなロシアの現状の反映なのか、驚くべき「非科学的情報」が庶民の間に普及している。

■「太陽は地球の周りを回っている」という「天動説」を信じる人が、ロシアで国民の中で約3割に達しているとのことだ。イズベスチヤ紙が全ロシア世論調査研究所から入手した調査結果として伝えたもので、調査はロシアの153都市で、1600人を対象に基本的な科学知識を試す形で行われた。その結果、天動説を信じている人は28%に上ったという。

■また、「放射能に汚染された牛乳は煮沸すれば飲んでも安全」との回答が14%、「人類は恐竜時代に既に出現していた」との回答が30%に上った。そうして、科学的な知識だけを信じる人は20%しかおらず、あとは魔法を含む何らかの超自然的な力の存在を信じていることも明らかになった、という。
 非科学的、オカルト的なものへの傾斜が急速に進んでいることの表れであり、ロシアのような「大国」でこの種の考えが急増していることは、危険は兆候だろう。

■調査では、はっきりしないが、こういう「非科学的情報」を信じる層は、恐らく学歴、学力などの低い人が多くを占めているのではないか。ソ連時代のロシア人は比較的よく本を読み、知的好奇心の強い人も多かった。ソ連崩壊後の混乱のなか、そういう「伝統」は失われ、物欲全盛の「実利主義」が支配的になっている。ここからは想像だが、その「実利」にあずかれない人たちが、カルト的非科学的情報を信じる方向に傾斜をしているのではないか。大いに気になる現象である。

■本日、投票の沖縄と福島の参議院補欠選挙で、野党と与党は「1勝1敗」となった。長期政権の弊害をなくすためにも、ここは野党が勝って近づく参議院選挙で勢いづいて欲しかったが、どっちにころぶかわからなくなった。次の参議院選挙で与党勝利となれば、「数の力」で強権的な政治を行う恐れもある。
 政官財の癒着の構造を正す意味でも、政権交代がときどき起こり、たまった垢を洗い流すシステムをつくらないといけないと思うのだが。
by katorishu | 2007-04-22 23:18
 4月21日(土)
■下北沢の小劇場「楽園」で、レクラム舎公演、鈴木一功一人語り『友情・ある半チョッパリとの45年』を見た。原作は評論家西部すすむ氏の同名の本で、西部氏が札幌の中学高校時代、唯一心を許せる友人の思いでをつづったもの。劇ではウミノという男になっている。ウミノは日本軍の軍属であった朝鮮人の父親と娼婦であった日本人女性との間にうまれ過酷な人生を歩む。

■最初、「西部」に扮した一功氏が出てきてウミノとの出会いや数々のエピソードが語られる。それはいいのだが、元学生運動の指導者で後に東大教授となり、「右翼評論家」といわれる西部氏を一功氏が演ずることには無理があり、このまま最後まで続くと、かなり辛いなと思っていた。ところが、1時間が過ぎ、「衣装替え」してヤクザになったウミノとして登場すると、がらっと趣がかわり、一功氏が輝きだす。ウミノが自分を戯画的に語る部分は出色の出来で、大変面白く、泣かせる芝居になった。

■ウミノの苦難の子供時代は悲惨そのもので、行商する母親につきしたがい、住む家もなく、あるときは屋根裏に寝て、あるときは駅の待合室で寝たりの生活を続ける。韜晦して語るのだが、哀れを誘う。栄養不足から結核になり死んでいく母親を、子供ながら必死で看病する姿や、母の死後、11才で炭鉱町の風呂屋にもらわれ、下男同様のあつかいでこきつかれ、逃げ出して町をさまよう。そんな過酷な少年の生活には驚くばかりだ。

■ウミノは頭脳が優秀であったのだろう、そんな過酷な環境にありながら北海道で最難関の高校に合格する。しかし、生い立ちのハンディは精神面でウミノを追いつめ、結局、ヤクザ組織にはいり、麻薬漬けとなるなどして転落の道を歩んでいく。
 そんなウミノを、西部は暖かく見つめる。義侠や男気というものが死語となっている「欲得万能」の現代に対する、一種の抗議の書とも言える。人の「覚悟」というものを根底に据えており、感動的な舞台に仕上がった。

■演出は30代の若い女性で、時代考証などの間違いも散見されたが、ぼくには興味深い舞台だった。西部氏の韜晦趣味の論にはついていけないところがあるが、一功氏によせた一文の中で『演技の問題にパッションを、つまり「受苦への情熱」を傾けてこられた鈴木一功氏が小生の友情への覚悟めいたものに関心を示してくれたことに深く感謝する』と記しており、ウミノという人物との出会いが、西部のその後の軌跡に強い影響を与えていることが、理解できた。

■終わって一功氏をふくめ、知り合いの役者、ラジオドラマ関係者等と軽く飲んだ。そのあと、別の集まりがあったので、途中で失礼して、こちらも役者や舞台関係者などの集まりに。新井晴美さんから、「香取さん、ブログに酔った弾みで私のために一人芝居を書くと引き受けたなんて書いたでしょう」といわれてしまった。このブログも読まれているかもしれませんが、改めて陳謝。いずれ「約束」を果たすつもりですが、とにかく時間が足らず、いろいろな方に約束を果たせず迷惑をおかけしています。
by katorishu | 2007-04-22 03:02 | 映画演劇