カレンダー

<   2015年 03月 ( 16 )   > この月の画像一覧

 3月31日(火)
■東京で電車に乗ると、お客の9割はスマホ等に見入っている。ひとつの車両で本を読んでいるのは数人か。新聞や週刊誌、漫画雑誌を読んでいるひとも、ほとんど消えた。スマホや小型のタブレットで漫画等を読んでいる人がいるようだが、それは少数派。

■僕のような「ジジイ」は、脳細胞がだいたい固まっているし、いつ壊れてもいいのだが、10代、20代の若い脳の持ち主が、まったく本をよまず、スマホ等でメールやチャットのやりとりに長時間を使う。ある調査では女子高生の半分以上が1日平均7,8時間、スマホ、携帯等をにらんでいるという。1割はなんと1日12時間、ひたっているとか。驚くべきこと、と思わない人の多いことが、また驚きである。

More
by katorishu | 2015-03-31 16:37
3月30日(月)
■クリント・イーストウッド監督の映画『アメリカン・スナイパー』を見た。
b0028235_1202657.jpg

原作はイラク戦争に4度従軍したクリス・カイルが著した自伝『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』で、ブラッドリー・クーパーが主演。アメリカで公開された戦争映画史上最高の興行収入額となり、2015年2月には3億ドルを突破したという。

■イラク戦争の戦闘のリアルさに圧倒された。大胆な省略で、はっとする場面も数多い。ハリウッドの戦争映画にありがちな「善悪をはっきりさせない」所もいい。説明を極力廃し、見るものの想像力にゆだねる。そんなテクニックも凄いが、さりげなく描く「メッセージ」が胸にせまる。例えばカイルの妻の台詞「戦争で影響を受けない人はいない。戦争は人の心を蝕む」など、イーストウッドのもっとも言いたことだろう。

■ラストシーン、イラク戦争から帰還し、「シールズ」という狙撃隊を辞めて、1民間人になったカイル。彼の心も奥底で蝕まれているようだが、さらに……衝撃のラストを、映像化せず「活字」でさりげなく描く。さりげなく、あっさりした活字での「情報伝達」だけに、かえって想像をたくましくさせ、胸に迫る。クリント・イーストウッド監督作品は、どの作を見ても、人間存在の面妖さを、さりげなく、かつ鮮烈に浮かび上がらせてくれる。
一人でも多くの人に見て欲しい。とくに国の舵取りの責任をもつ政治家は見るべし。(多分、内閣の関係者は誰も見てないのでしょうが)

★「渋沢栄一の経営教室Sクラス」(日本経済新聞出版)好評発売中です。
本屋にない場合は、MAZON等で、よろしくお願いします。
b0028235_1285630.jpg
by katorishu | 2015-03-30 12:02 | 映画演劇
昭和エロ・グロ・ナンセンスにみる現在。
第3章 文学篇(純文学)第1回、本日(3月27日)配信。
1回は無料で読めます。
✻人間の内奥にひそむ「願望」放出の代替装置として、新しく勃興した「新感覚派」等を
中心に描きます。

b0028235_1240392.jpg
「冒頭の一説」

文学におけるエロ・グロ・ナンセンスの一端を知っていただくために、次の一節を読んでいただきたい。

 声によって想像すれば、それは、まだうら若い異国の乙女でございました。ちょうどその時、部屋の中には誰もいなかったのですが、彼女は、何か嬉しいことでもあった様子で、小声で、不思議な歌を歌いながら、踊るような足どりで、そこへはいってまいりました。そして、私のひそんでいる肘掛椅子の前まできたかと思うと、いきなり、豊満な、それでいて、非常にしなやかな肉体を、私の上へ投げかけました。しかも、彼女は何がおかしいのか、突然アハアハ笑いだし、手足をバタバタさせて、網の中の魚のように、ピチピチとはね廻るのでございます。[‥‥]これは実に、私に取っては、まるで予期しなかった驚天動地の大事件でございました。女は神聖なもの、いや、むしろ怖いものとして、顔を見ることさえ遠慮していた私でございます。その私が今、身も知らぬ異国の乙女と、同じ部屋に、同じ椅子に、それどころではありません。薄いなめし革ひとえ隔てて、肌のぬくみを感じるほど密着しているのでございます。それにもかかわらず、彼女は何の不安もなく、全身の重みを私の上に委ねて、見る人のない気安さに、勝手気儘な姿態をいたしております。私は椅子の中で、彼女を抱きしめる真似をすることもできます。革のうしろから、その豊かな首筋に接吻することもできます。そのほか、どんなことをしようと、自由自在なのです。

 注文に応じてさまざまな椅子を作る「世にも醜い容貌の持ち主」の職人が、自分で作った革張りの椅子のなかに入り込んで、そのままあるお屋敷に運ばれ、お屋敷の貴婦人をはじめそこに集う上流の女たちに「なめし革」一枚の感覚で密着し、密かに隠微な「恋」を体験するという、妖気漂う作品である。

以下のURLです。

http://webronza.asahi.com/culture/articles/2015032100008.html
by katorishu | 2015-03-27 12:43 | 文化一般
3月26日(木)
■北野武監督・脚本・編集の映画『龍三と7人の子分たち』の試写を、ワーナーブラザーズの試写室で見た。家族にも社会にも相手にされず、居所のない引退した老ヤクザ。
b0028235_22233660.jpg
かれらが「昔の元気」であったころを思い出し、「義理も人情もない」世知辛い世の中に立ち向かう物語。「オレオレ詐欺」にひっかかったことをきっかけに、詐欺集団と戦うという展開だ。

■これまでの北野武監督作品とは、趣をかえた「ヤクザものコメディ」で、従来の北野作品にあったアナーキーでとんがった部分があまりない。プロデューサーの森昌行によれば、「今回は違うテイストの作品を」と制作側の要望を伝えて企画された作という。ビートたけしが「Web新潮」に発表し『ヤクザ名球会』をもとに脚色した。北野作品としては初めて「本読み」を行ったという。いわば「普通の作り方」をしたというべきか。

■仕上がった作品はコメディ映画として、それなりのレベルにいっていると思う。ただ、中高年を意識した作で、かなり「笑い」をとりにいっている分、「老年ヤクザ」の凄さや、悲しさ、切なさなどがちょっと不足していると感じた。中高年には溜飲のさがる作だとは思うが。若い層がどう反応するか。4月25日、ロードショー公開。
by katorishu | 2015-03-26 22:24 | 映画演劇
3月23日(月)
■Webを見ていたら昔、「文学と電車」というエッセーをムックに書いていた。書いたことも忘れてた。どういう人だか知らないが、「とても興味深い」と記している。志賀直哉の「出来事」、森鴎外の「電車の窓」、夏目漱石の「それから」、永井荷風の「濹東綺譚」等に、市街電車がいかに巧みに織り込まれ、効果を発揮しているかを記した。
b0028235_1155172.jpg

■残念ながら、このムック、手元にない。
僕の一番好きな乗り物は都電(市街電車)だった。東京中のメイン通りには、たいてい都電が走っていた。東京オリンピックのころを契機に、「交通の邪魔」だとして撤去され、地下鉄にかえられた。邪魔だというのは車にとって邪魔という意味である。非効率的だからといって、消してしまう。その果てにあるのは、文化の劣化、消滅――ではないのか。文化・芸術の多くは、「非効率的」で「数字化」されない。これをなくしてはいけない。

■1枚の切符で何度も乗り換えが出来たし、のどかなのがいい。今の都会に失われているのは「のどかさ」だな、と改めて思ったことだった。僕の好きだった(過去形)テレビからも「のどかさ」が消えた。日本国の指導者が「美しい日本」「伝統ある日本」を本当に望むのなら、まずは「のどかさ」を取り戻すことではないのか。こうした意見を、単に「年寄り」の郷愁として排除してしまうところに、文化の花は咲かない。そういう不毛の土地に人間味をもった人は育ちにくい。
by katorishu | 2015-03-23 11:15 | 文化一般
3月21日(土)
■池田信夫氏がブログで、『主権国家が終わり「世界内戦」が始まる』を書いている。これは「正戦と内戦」という本の書評という形をとっている。かいつまんで紹介すると――
現在、『世界秩序は国家主権を守るという国連の普遍主義から、アメリカ一極支配による正戦に回帰し、湾岸戦争やイラク戦争などによってアメリカは「世界の主権者」の地位を獲得したかにみえる』とした上で池田氏は、『もともと主権国家は、正戦の論理にもとづく宗教戦争をやめ、複数の宗派を認める自由主義の理念でつくられた「中立国家」だったが、今やアメリカは国連決議もなしにイラクに介入する一国主義になり、中立性も実定法主義も放棄してイスラム世界との世界内戦を始めた』

■そして、現在、『「経済帝国主義」が主権国家のコントロールを超えて拡大する一方で、シュミットの指摘したパルチザン(テロリスト)の危険が高まっている。たしかにアメリカが勝手に世界の警察を演じる現状には問題があるが、それがないとアラブやアフリカの無政府状態はさらに拡大するだろう』と論を展開する。

■僕のもっとも危惧していることは、近い将来、例えば「イスラム国」のような現在の価値を否定する集団が核兵器を手にしたとき、何が起きるかである。自分たちの要求がいれられなければ、彼らは躊躇なく核兵器を使う。核兵器の小型化がすすんでいるし、個人のグループでも手に入れば使えるようになっている。こういう「化け物」「悪魔」の兵器をつくりだしたのはアメリカである。

■米ソの「冷戦時代」は国家と国家の対決であったが、グローバリゼイションはそういう「古典的図式」を崩壊させた。世界は今、恐ろしい方向にむかいつつあるといってもよい。多くの日本人は「今日は昨日の続きであり、明日は今日の続き」という、ある種おめでたい「信仰」のもと、「安全神話」にどっぷりつかっているが、こういう「神話」が現実性をもつのは、せいぜい2020年の東京オリンピックあたりまでだろう。その後の世界は、「あまり見たくない」光景にあふれる。これは悲観的すぎる見立てだろうか。もちろん見立てが外れることを望むが。

■いずれにしても「主権国家」の崩壊を加速させる最大要因の一つは「経済帝国主義」である。このままで事態がすすめば、格差は拡大する一方で、一部富裕層や金融帝国を謳歌している人たちの上にも、等しく大惨禍がふりそそぐ。そのことに大変無自覚な人が多い。特に政治家。的確な現状分析と共に、未来を鋭く見通す能力をもった政治家が、数えるほどしかいない。「大臣になって故郷に錦を飾る式の」ジコ中議員のなんと多いことか。

★「渋沢栄一の経営教室Sクラス」好評発売中です。渋沢栄一は「経済帝国主義」とは対極にある経済人。渋沢栄一の「入門書」であると同時に、エンタメ起業小説という両面を備えたユニークな本です。書店には残り少なくなっていますが、AMAZONで買えます。よろしくお願いします。
by katorishu | 2015-03-21 13:41 | 政治
 3月18日(水)
■国会図書館の大ホールで「脚本アーカイブズ」の新たなるステップへ、と題するシンポジウムが開
b0028235_19334560.jpg
かれた。主宰者側の一人なので、当然参加した。第1部の座談会は、三田佳子さん、山田太一さん、フジテレビ創成期のプロデューサーで新国劇出身の嶋田親一さん、NHKの元ドラマディレクター中村克史さんらによる、テレビドラマ制作にまつわる諸々興味深い話。大変面白く、濃い内容だった。会場は満員。

■ドラマは「先人たち」の結晶をひきつぎ、その上に新しいものを創っていくことによって佳品が生まれる。他の分野でも同じだと思うが、最近どうも、そういった「伝統」が軽んじられている。そんな意見が多くでた。脚本重視こそ、良いドラマを産む。この当たり前のことが、当たり前ではなくなりつつある。そんな意見が多くでた。

■それを、「年寄り」の繰り言といって排していては、日本のドラマばかりか日本の文化の発展はない。2部の学者、専門家たちの討論も内容が深く、充実したシンポジウムであった、と自画自賛しておこう。僕はちょこっとお手伝いしただけ。若いスタッフのみなさん、ご苦労さまでした。
by katorishu | 2015-03-18 19:38 | 文化一般
3月17日(火)
■三原じゅん子議員の国会での「八紘一宇」発言にふれて、経済学者(元NHK経済部記者)池田信夫氏が興味深い指摘をしている。どうも三原議員は、富裕層や金融資本が国へ納めるべき税金を海外に「税逃れ」のため移転していることを暗に指摘しているのでは、と触れた上で、税率の低い国に税金をおさめて自分だけよければいいという考えは、八紘一宇の精神に反する、といいたいらしいと。

■この流れが加速すれば、「近代国家の負担と受益の原則」が崩れ、大規模なフリーライダーが横行する。池田氏によれば、「居住・移転の自由は憲法で保証されているのに、なぜ国境を超えた移民は禁止されているのか。それは近代国家の最大の機能が財産権の保護、つまり資本家が植民地や労働者から掠奪した富を守ることだからである」

■近代国家はそもそも「資本主義を守るシステムだったが、インターネットはその根拠となる国境を超え」結果として「テクノロジーで財産が守れるようになる。すると資本は税負担を回避して世界に拡散する。

■こうした「グローバル資本主義の矛盾」に対するラディカルな反抗が、「イスラム国」のグローバル・ジハードである。
『見方を変えると、金融資本とイスラム原理主義は、逆の方向から(中田考氏のいう)「世界を収奪して支配する領域国民国家というリヴァイアサン」を破壊し、グローバルな新秩序を建設する第一歩かもしれない。三原氏や安倍首相の信じている天皇制ナショナリズムは、そこから2周遅れである』
 なるほど。勉強になります。

以下PR
「渋沢栄一の経営教室Sクラス」(日本経済新聞出版社)発売中。
16歳の定時制高校生が渋沢栄一に「学び」起業し成功していく感動物語で、ビジネス書の面も備えています。
by katorishu | 2015-03-17 17:55 | 社会問題
 3月15日(日)
■1976年、中国唐山を襲った大地震。死者は数十万にのぼったといわれる。この映画で被害にあった姉妹を描く、壮大な叙事詩。姉妹が瓦礫の下敷きになる。ダーとドンの姉弟だ。ダーは片腕を切断するが一命はとりとめ、一方、死んだとして死体置き場に放置されたドンは意識を回復する。しかし、記憶喪失。人民解放軍幹部の養子となる。
b0028235_13541779.jpg
この姉妹の「その後」の、それぞれの喪失感を描く。人の微妙な心理を繊細に描いて見事。
松竹の試写室で見て、「これは傑作」と思った。

■2011年3月26日(土)に全国映画館で公開予定であったが、直前に東日本大震災が発生したため公開を延期。その後も市場調査をへて公開の動きがあったものの、日本の大地震の被害を考慮し、非公開のままだ。こういう力のこもった壮大な「叙事詩」ともいうべき映画が未公開のままなのは残念としかいいようがない。

し震災を描いた映画やドラマは他にもあるが、この映画を超えるものは見たことも聞いたこともない。大災害のもたらす『哀しみ』の具体例としても、芸術作品としても、それそろ公開してほしい。監督 フォン・シャオガン。出演 シュー・ファン/チャン・チンチュー/リ・チェン。

by katorishu | 2015-03-15 13:54 | 映画演劇
3月13日(金)
■13日の金曜日はキリスト教国では「不吉」な日とされる。いちおう仏教徒の僕には無縁だが、そんなタイトルの映画を昔見たことがあり、潜在意識のなかに、なんとなく良くない日いう意識が入り込んでいるかもしれない。
 それはそれとして、僕がほぼ毎日読む個人ブログがあるが、その中の自衛隊員出身で元毎日新聞政治部記者の板垣英憲氏のブログ「板垣英憲法情報局」(一部有料)は、意表をつく論が展開されていて、「ほんとかな」と思うところもあるが、大変興味深く参考になる。

■以下、本日の板垣ブログの一部を抜粋させていただく。
『日本は、「金持ち国家」だ。政府の財政上、2014年度末の「国の借金」の総額は1143兆9000億円になる見通しなので、この部分だけに視点を合わせれば、確かに「借金国家」ではある。けれども、「天皇の金塊」はじめ、日本が保有している「金塊」あるいは「銀」「プラチナ」などの保有総量は、世界一であり、この「後ろ盾」(担保力)によって、天皇陛下を頂点にして、日本をホストカントリーとしている「世界銀行」(ジム・ヨン・キム総裁)は、IMF(国際通貨基金)を通じて巨額資金をアカウントを持っている世界各国に「分配(シェア)=金利4%」していることを忘れてはならない』

■さらに板垣氏は悪化している日韓関係について、日本は「(金持ち)大国」の風格を示して、いつまでも両国関係をこじらせたままにしておくのではなく、次のように提言する。

『近隣国家どうしが、いつまでもエンドレスにいがみ合っていても、生産的ではない。韓国政府が推定する慰安婦の被害者は8万~20万人だったのが、いま確認できているのは「243人のみ」と言われている。日本政府が、何がしかの「誠意(金銭提供)」を示したとしても、大した金額にはならない。「金持ち国家」である日本は、「金持ちケンカせず」の言葉に従い、この際、「大国の風格」を示すときがきている。
 自民党の二階俊博総務会長(元運輸相、北海道開発庁長官、経済産業相)は3月11日、東京都内で講演し、「外交官のように『その問題は済んでいる』と言って、道が開けるのか。道を開いて仲良くする方法を考えるべきだ」と語ったという。まさしく、その通りであろう』

■今や、自民党内で安倍首相に意見をいえる議員は、ほとんどいなくなっているようだが、その中で二階俊博総務会長の存在が重みをましているらしい。政権交代は民主主義にとって必要だし、民主党政権が成立したとき期待をしたのだが、裏切られた。だからといって、その反動ででてきた現政権の、緊張を煽るような外交政策には同調できない。「アベノミックス」とやらのメッキがはげたし……このままだと、「危ない国」になるという思いを抱いている人は多い。一歩間違うと「言論の自由」が制限され統制国家になりかねない思いをもっている人は多い。
断っておくが、僕は『左』でも『右』でもない。拙著のノンフィクション『マッカーサーが探した男』や『北京の檻』を読んでいただければ、僕の「立ち位置」をわかっていただけるだろう。

★「渋沢栄一の経営教室Sクラス」(日本経済新聞出版社)好評発売中。
日ハムファイターズの栗山監督も推奨とか。
b0028235_18354394.jpg
by katorishu | 2015-03-13 18:26 | 政治