駐日大使にジョセフ・ナイ氏をオバマ次期政権が起用、対日重視策の現れ
2009年 01月 09日
■オバマ次期政権が駐日大使にジョセフ・ナイ氏を起用するという。ナイ氏は国の外交手段として、軍事力など「ハードパワー」に頼らず、文化などの「ソフトパワー」を重視すべきだと日頃から主張してきた人である。ナイ氏はクリントン政権で国務次官補をつとめ、現在はハーバード大学教授だが、オバマ氏は適任の人を駐日大使に選んだものと、評価したい。
■対日関係重視の姿勢のあらわれである。ほかに対日政策の主要メンバーに中国専門家のフェフリー・ベーダー氏や知日派のカート・キャンベル氏などが就任する見込みだと、朝日新聞夕刊が報じていた。「日本に厚い配慮をした布陣である」と朝日は一面トップで報じている。ジョセフ・ナイ氏以外は知らないので、なんともいえないが、軍事偏重ではないソフト・パワー重視の人を駐日大使に選んだことで、オバマ氏への期待はもてる。
■もちろん、ブッシュ政権でメチャクチャにしてしまった金融やイラク戦争など、「後遺症」に悩むことになり、そう簡単にアメリカの復権がもたらされるとは思えないが、任期が4年あるというのは強みである。それに対して日本では未だ世襲政権が居座っている。本日発売の週刊文春が「麻生自民『解党』」という特集を組み、政治広報センターの宮川義隆所長の選挙予測を発表している。自民党にとっては顔が真っ青になりそうな結果である。民主党が過半数を超える280議席を獲得するのに対して、自民党は現有議席305の半分にも達しない149議席になるという。
■公明党も議席が激減するとのことで、与党にとっては衝撃的な数字である。裏返せば、現与党は国民世論の支持を得ていないということである。民主党に変わったからといって、急に日本がよくなるわけではないが、少しはましになるはずである。自民党の現有議席のうち、世襲議員の数は86人で28.2パーセント、政治家家系の二世議員は24人で7.9%、両者の計は110人、36,1%になるという。これは世界での類を見ない異常なことである。
■韓国には直接世襲議員はゼロだそうだ。日本の政治がいかに世界でも希なゆがんだ構造をもっているか、この一点でもわかる。「そんな議員構成の自民と国民政党とはいえない。世襲議員政党が、永年、政権を牛耳って来たから日本の政治は疲弊したのである」(宮川氏)。
■投票で候補者の名前を直接紙に書く「自書式投票制」はじつは世界で日本だけが維持しており、「過去の遺物」といっていい。自民党が世襲の強みを発揮させるため、電子投票などに反対してきたため、こういうことになった。この構造も崩れるだろう。
議員の平均年齢も自民党が圧倒的に高い。奢れる者久しからずで、今年をもって「解党」となることは避けられないようだ。アメリカも変わるのだし、日本もかわらないといけない。l国の運命を左右する権力をもつ政治家からまず変えていくことが、日本を再生させる近道であると、あらためて思う。