3時間のNHKの生放送番組「テレビのこれから」を見た
2009年 03月 21日
■NHKで「テレビのこれから」という3時間の生放送を放送していた。「テレビ関係者」のひとりなので、どんな議論が戦わされるのかと思って興味深く見た。視聴者「代表」と民放をふくめた地上波テレビの制作者などが参加していたが、両者の間にかなり認識のズレがあるなと思った。
■テレビ局の人間は会社を代表してきているので、本音をいいにくかったかもしれないが、現状を的確に認識しているのは、むしろ視聴者側ではないか。それと視聴率とひとくちにいうが、ビデオ・リサーチのみの調査ででてきた数字が果たしてどれほど現状を把握しているかについて疑問がでなかった。以前、ニールセンというアメリカ系の調査会社もあったのだが、「ある陰謀のもとに」なくなった、などとも聞いている。ビデオリサーチとニールセンの調査の数字には、かなりの差があった。もし、今、ニールセンの調査があったら、数字にもとづいて創られる番組の内容もかなりかわっていたのではないか。
■ぼくはテレビを比較的よく見るが、ほとんどはCSなどの「専門チャンネル」が多く、地上波テレビはあまり見ない。(おかげで月6000円近い料金を払っているが)よほど時間があれば別だが、限られた時間のなかで、地上波テレビに費やす時間が、もったいないのである。本当に見たい番組は録画しておくが、録画するだけであらためて見ることは少ない。
■この番組で意識的にさけていたことがある。民放にとくにいえるが、若者が見ていないことからスポンサーが離れていっていることである。急速な収入の低下がおきており、今後深刻な経済停滞がつづけば、ますますスポンサー離れが加速し、地上波テレビのビジネスモデルが成立しなくなる。テレビそのものがなくなることは、近い将来ではないと思うが、メディア界での地位は相対的に低下するだろう。そのほうが、まともかもしれない。
■出演者のひとり、糸井重里氏が発言していたが、これまで人がテレビにくっつきすぎていた。テレビを1日、4,5時間も見ていることが(平均視聴時間はこのくらいではないのか)ぼくにいわせれば「異常」である。多くは「ながら視聴」なのだと思うが、人間の「持ち時間」はそう多くはない。もっと別の時間の過ごし方があるはずである。
■アメリカのテレビの現状を紹介していたが、インターネットテレビが今後、隆盛になる可能性が強い。いずれにしても、テレビの隆盛とともに歩んできた「戦後日本」が大きな曲がり角にたっているので、テレビも当然、大きな曲がり角にある。どのように変わるか未知数だが、映像ばかりを見ていると、想像力が枯渇する。ラジオや活字にもっと接した方がいい。ともあれ、「テレビ界初めて」というこういう試みについては、一定の評価をしたい。危機意識の反映としてこういう番組がつくられたのだと思うが。