防衛医科大、名倉教授の「痴漢えん罪」事件
2009年 04月 19日
■防衛医科大教授の名倉氏が小田急線の電車内で、女子高生に痴漢をしたという件で、最高裁が無罪判決をいいわたした。名倉氏がサンデープロジェクトに出演して、「事件」について語ったが、検察の暴走は恐ろしいとあらためて思う。
■名倉氏のケースにみられるように「被害者」の女性から、「このひとが痴漢」といわれたら、誰でも「犯人」に仕立てあげられてしまう。痴漢という最低の行為をやる男も相変わらず多いようだが、一方で冤罪の汚名を着せられる人も多いのではないか。
■警察も検察も、痴漢の場合、被害者側の申し立てを信用し、「このひと」と名指しされた人の抗弁はほとんどきかず、拘置してしまう。名倉氏は30日拘留されたという。テレビにでていた名倉氏を見て、60過ぎのこんな実直そうな人が痴漢をするだろうか、という思いを、まず抱いた。
■最高裁が無罪という判決をくだしたが、一審、二審とも有罪で、実刑なのである。「被害者」当人の証言だけで、ほかに「犯行」を立証するものがない。ほかの犯罪とちがって、証言だけで決まるところも怖い。
■これとは関係ないが、弁護士と裁判官がぐるになって「物語」をつくっているという「証言」をきいたことがある。民事裁判でのことで、裁判でまけた当事者から、これをぜひ本にしてほしいと生々しい「証言」を聞いた。某出版社やそのほか編集者にもちかけたが、検察や裁判所を「敵」にまわすことでもあり、いずれも尻込みしてしまった……と記すにとどめよう。
■世の中には「正義の味方」の顔をみせながら、じったいは違うことをしている組織や人も多い。冤罪は国家による最大の人権侵害であり、問題が多い。検察は正義という「常識」を疑ってかかったほうがいい。検察や裁判官の中には、若いとき勉強ばかりして人生について体験も少ない人間味のない人もいると考えられる。特捜などについても、「正義の味方」という言い方がされてきたが、留保をつけたほうがいい。どのような組織にせよ、圧倒的な力をもたせ、そこをチェックする機関のない組織にしてしまうことの怖さを改めて感じた。