コラム


by katorishu
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NHKスペシャル「インドの衝撃」を見た

 5月24日(日)
■NHKスペシャル「インドの衝撃」を見た。本日の放送は、軍事大国インドに焦点をあてており、大変興味深かった。世界的な大不況がつづくなか、インドは年率5%の経済成長を維持しており、さまざまな分野で急速な変化がすすむ。

■人口11億で、いずれ中国をぬいて世界一の人口大国となり、存在感を強めつつある。軍事費の伸びも大変なもので、現在130万の兵力。軍事予算は10年で3倍となり、兵器輸入金額では世界一になっている。ムガール帝国などかつて大帝国を築いたインドが、21世紀にはふたたび大帝国を築く可能性も強い。

■残念ながら、日本は急成長するこの大国との交流があまり盛んでないようだ。今後、インドがどのような外交政策、経済政策をとってくるかわからないが、確実にいえることは、世界情勢を左右する強い存在になりつつあることだ。インドについて、日本人はもっと勉強しないといけないのだと思う。ぼくがもし今10代の若者であったら、インドへ渡ると思う。

■途中からCSテレビで「サンデー・プロジェクト」の再放送を途中から見た。ちょうど竹中平蔵氏と元自民党幹事長の加藤紘一氏が「小泉改革」について論争していた。はじめの部分を見ていなかったが、弁舌という点で確かに竹中氏は一種「天才的」なものがあり、相手を論難する術にたけている。加藤氏は相当押され気味だった。小泉氏など、恐らく竹中氏の弁舌のトリコになり、「小泉改革」に突っ走ることになったのだろう。

■本日は、都下あきる野市で行われた叔父の法事に参加。そのあとの会食でたまたま隣に不動産屋とS電気の会長のS氏がすわったので、歓談した。不動産屋氏の話では、不動産不況はひどいもので、価格は暴落に近いらしい。すこし不便なところでは土地付き一戸建てが1600万円ほどで売りにだされているという。新築の建物が下落しているので、中古物件はほとんど売れないそうだ。

■S氏は関東を中心に35軒ほどの電気販売店を展開している会社の創始者で、叔父と60数年来のともだちであると、叔父からきいていた。昭和30年初期、叔父とふたりでネクタイを売りに地方にいき、最初2本しかうれず、困難な状況におちいった。当時、ぼくの実家でつくっていたネクタイを売りにいったのではなかったか。食堂にはいりおかずはなしで、ご飯だけを注文し、そこに醤油をかけて食べた話等々の「苦労話」を叔父から聞いてはいたが。

■売れなかった原因を考えたS氏は「二人で一緒にいくから甘えがでて売れないのだ」といって、翌日は単独で売ることにし、頑張って結局400本以上売ったという。「S君はえらい」とぼくの祖父がいったとか。比較的裕福に育った叔父は、どこか甘いところがあり、それを諭す意味でS氏をほめたのかもしれない。

■いずれにしても、そんな体験を生かしてS氏はゼロから小さな電気屋をはじめ、高度経済成長の波にのって二部上場企業にまで発展させた。S氏は今でも社員にはしばしば、ネクタイを地方に売りにいったときの体験を話しているとのことだ。「私はとにかくあとがなかったから頑張った」と80歳をすぎてもなお35軒ある店を週の半分はまわるというS氏。S氏は一種「立志伝中」の人物で、土壌に「ハングリー精神」があったという意味のことを語っていた。

■そのS電気も海外に進出したりしたものの撤退した。最近は大型安売り店の進出の影響もうけ、社員は隆盛時より半分に減っているという。白髪で長身痩躯、「やり手」という印象の人ではなく、穏やかで静かな人だった。ある意味で良い時代を生きてきたのかもしれない。これからの日本は試練の連続になるだろうが、ヤワな体力になってしまった多くの人に、はたして試練を克服できるかどうか。ハングリー精神はスポーツばかりでなく、他のいろいろな分野で必要なのかもしれない。睡眠不足で疲れた脳で帰路電車に揺られながら、そんなことを思ったりした。
by katorishu | 2009-05-25 00:30