コラム


by katorishu
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 「民主党政権」成立に対するアメリカの見方

8月19日(水)
■読売新聞に面白い記事がでていた。アメリカの議会調査局が日本の衆院選挙について、民主党政権が誕生した場合、日米同盟への影響を分析した報告書をまとめたが、この中で、民主党が衆院選で大勝した場合はより保守的な内閣ができ、辛勝した場合には「社民党の意向を尊重した」リベラルな内閣ができると予測している。

■アメリカは「全く未知の新政権と協力していくことが求められる」と指摘しており、民主党政権は当面、「外交、防衛問題よりも、経済と政治改革に焦点を当てる」と分析した。一方、民主党内で外交・安全保障政策の一体性がないことや、参院の情勢から社民党と連立を組む可能性が高いことにも言及している。アメリカは民主党政権が出来ることを見越して、すでに多方面から分析を加えている。もちろん、CIAなどの情報当局もフル活動して、民主党政権の要になりそうな人物の周辺調査をしていることだろう。

■善し悪しは別にして、アメリカの情報機関の調査活動はかなり徹底しており、さまざまなシミュレーションも行っていることだろう。もっともイラク戦争でのCIA分析はお粗末そのもので、ブッシュ政権を戦争に押し出す原動力になった。背後には軍産複合体制や石油関連会社の「意図」もうかがえる。
 日本とちがうところは情報公開法によって、時がたてばかなりの機密情報が公開される。さまざまな文書や映像のアーカイブも充実しており、その点、日本は先進国中でもっとも遅れている。

■シンクタンクも日本は不十分で、もっと情報収集や情報分析能力に力をいれないと、世界の流れから取り残される。民主政権に過度の期待は禁物だが、この政権が長続きするかどうかは、道路などのハード面ではなく、「ソフトパワー」を充実させるためにどれほど税金を投入できるかにかかっている、と思う。ソフトパワーには、もちろん教育や文化、芸術などのパワーアップがふくまれる。

■ひところ日本の強みの源泉は、世界に類をみないほど国民がよく本を読むことだった。読書好きが、日本の「美風」であったのだが、いまこの慣習が急速にすたれつつある。日本人の典型として眼鏡にカメラという戯画が世界に流されたが、眼鏡をかけている人が多いことは、読書をする人が多かったことの反映でもある。(受験勉強に精をだす人も多かった)。もちろん本さえ読めばいいというものではなく、他にいろいろとやるべきことがあるかもしれないが、今は読む人が少なすぎる。読書はイメージ喚起力や想像力、思考力を養うのに大変役立つ。抽象的な思考の訓練にもなるし、目が悪くなる恐れはあるものの、いいことづくめである。ソフトパワーの源泉は読書にあり、それが「脳力」を強くし肥えさせる。ここを豊かにさせることが、政治の急務でもある。このへんに日本「再生」の鍵がありそうだが、この方面に言及したり強い関心をもっている立候補者は、残念ながらほとんどいないようだ。地味豊かにしなければ、芽もでないし、花も咲かない。
by katorishu | 2009-08-20 00:05 | 政治