コラム


by katorishu
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9,11テロ8周年

 9月12日(土)
■アメリカ時間では11日ということで、例の「9,11」事件からちょうど8年が経過する。衝撃的な映像は今も脳裏に焼き付いている。あんなにもあっけなく高層ビルが二つも崩れ去るとは、誰一人思わなかったろう。アメリカ国民はあまりのショックに茫然自失し、ついで極度に感情的になり、イラク戦争にときすすんだ。あの戦争に費やす膨大な戦費を捻出するため「へんてこりんな金融政策」をとり、あげくにサブプライムローンという面妖な金融政策をとり、その結果はいうまでもない。

■イラク戦争に勝利したころ、アメリカは現代のローマ帝国のような趣だった。向かうところ敵なしで、世界をひれ伏させることができる、とブッシュ政権は過信していたようだ。しかし、奢れるもの久しからず、ブッシュ政権を支えるネオコンの「市場経済原理主義」は頓挫した。今のアメリカは深傷を負ってのたうつ恐竜のようだ。そのとばっちりをもっとも強く受けたのが、わが日本である。おりしも小泉政権の時代で、アメリカべったりの政策を強くおしだし、国民の巨額な貯金等を、アメリカの国債の購入にあてた。実質的には、アメリカ国民の大消費のために、日本人が働いて営々とためたお金を提供したということである。

■虎の子のカネを貸したのに、今は返してもらえない状態といってもよい。巨額のアメリカ国債を日本は売ることもできないのである。もしイラク戦争直前、小泉政権がアメリカにもう少し距離をおいていたら、果たしてブッシュは戦争につっこんだかどうか。
 田中宇氏など、アメリカは敢えて多極化を狙っている、と当時からメルマガに書いていた。国際政治が多極化し、常に不安定要因をかかえている状態こそ、ある層の人間にとっては、ありがたいことなのである。混迷をつづける世界情勢の荒波を、鳩山政権がどう乗り切るか、目を離せない。

■本日、脚本アーカイブズのかかわる「脚本展」の準備のため、北千住の脚本アーカイブズ準備室に。設立のための資金がないので、5年目にはいるのに「準備室」の名前がとれない。一方で、「脚本アーカイブズ」という言葉は、マスメディアでもしばしば報じられるようになり、こういう組織の設立に理解を示す人は多くなった。一言でいえば「脚本・台本重視」を訴えたいのである。使用した脚本・台本を大事にとっておき、保存管理し、さらに将来の創作のために利活用する。先進国で脚本アーカイブズがないのは、日本だけである、という事実を映像関係者はもとより、多くの国民に知ってほしいものだ。良き作品は良き脚本からしか生まれない。欧米では自明のことだが、我が日本では、かならずしもそうではない。映像関係者にも意識改革が今ほど必要なときはない。

★9月18日(金)より23日まで、新宿の芸能花伝舎で「日本放送作家協会50周年記念の脚本展」を開催します。あわせて18日と19日には、バラエティとドラマ、報道ジャーナリズムの3部門にわけてシンポジウムを行います。バラエティ部門には横沢彪氏、秋元康氏など、ドラマ部門には山田太一氏、中園ミホ氏など、報道ジャーナリズム部門には吉岡忍氏や立花隆氏らが出席します。詳しくは日本放送作家協会か、日本脚本アーカイブズのホームページをごらんください。
by katorishu | 2009-09-13 01:12