コラム


by katorishu
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ブッシュ・小泉両人参加の始球式が予定されているという

 11月3日(火)
■文化の日である。多少とも「文化」に関連することでメシをたべているので、この言葉には敏感になる。ひとそれぞれ価値観もちがうので一概にはいえないが、私見では日本の文化はこの20年ほど劣化の道筋をたどっている。言語駆使能力ひとつとっても衰退の一途である。過日大宅文庫で戦前の雑誌を読む機会があったが、格調のある文章に驚いた。別に一流の総合誌や言論雑誌ではなく、マイナーな雑誌であっても、誤植は多いものの、文章の品格という点では、最近の雑誌の文章と比較にならない。

■アメリカの前大統領のブッシュ氏が今月日本を訪れ、小泉前首相とプロ野球の始球式を行う……といったニュースが一部メディアに流れている。日本シリーズのことである。二人が顔をあわせ始球式を行えば、注目され、テレビ放映の視聴率もあがる。そんな思惑や期待もあって、招待しようという組織があるのだろう。 しかし、世界経済を奈落の底に落としたブッシュ氏が、お忍びでくるのならともかく、そんな「晴れ舞台」にたてば、世界の笑いものになる。日本はなんてお人良しで脳天気な国なのかとバカにされるし、国益にまったくならない。

■現在、マスメディアはどこもブッシュ来日を報じていないようだが、ありそうなことである。歴史に「もし」は意味のないことといわれるが、もしアメリカの大統領が、ブッシュ氏ではなく、大統領選挙で僅差で敗れた(不正があったという報道もある)ゴア氏であったら、その後のアメリカもあそこまで落ち込むことはなかっただろう。一説には米ソの軍拡競争の終焉で職を失った工学系の専門家が、つぎの活動の場をもとめて金融界に数多くなだれこみ「金融工学」なる面妖なシステムをつくりだしたのだという。サブプライム・ローンなど一連の「錬金術」を考えだし、それが、今の世界的大不況の元凶になった。

■世界第一と第二の「経済大国」のリーダーを何年も続けたブッシュ・小泉の両人。世界大不況に二人が果たした役割は大変なものだ。多くの国民が経済的に追い詰められている中、「恥を知る人間」であったら、そんな「晴れ舞台」にたつことを遠慮するのが「常識」というものである。もっとも、お二人の辞書には「遠慮」という言葉はないのかもしれない。で、二人の始球式が実行される確立は高い。多分マスコミが殺到し、大々的にとりあげるのだろう。世界に日本の恥をふりまくことは、いい加減にしてほしい、と文化に日に思ったことだった。
 
by katorishu | 2009-11-03 23:44