コラム


by katorishu
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デフレを政府が公式に認めたが、デフレは大変怖いもの

 11月20日(金)
■政府が正式に今の日本経済はデフレに陥っていると宣言した。政府としては出来るなら経済の回復をしめす指標をなんとしてでも探したかったのだろうが、深刻さを認めざるを得なかった。インフレも問題だが、デフレは数倍怖い。昭和初期の世界大恐慌の記憶を、まだ心ある人はもっている。もちろん、同時代を生きた人はごく少数派になっているが、歴史を学んだ人は、あの大恐慌がなにをもたらしたか、知っている。

■大恐慌のもと、世界的にブロック経済が形成され、排他主義的な政策をとる国が多くなった。世界貿易への依存度の高い「資源小国」日本にとっては相当厳しい事態であり、打開策のためにとった一大「博打」が戦争であった。戦争と経済とは密接に結びついている、と歴史をすこしでも読んだ人なら納得していることだろう。残念ながら大正期から昭和初期にかけて、それなりの知識をもっている人は、今やかなり少数派になってしまった。「知らない」ということは、かなり怖いことである。

■学校の歴史教育が、古代からはじめて時代を追って江戸から明治ごろまでくると、そこで時間切れで終わってしまう。今の教育制度の欠陥のひとつである。昭和など「現代史」は受験に出ないからという理由で、学ぼうとしない傾向が強い。現代史については、歴史家の解釈もわかれており、左派・右派の間で相反する見解、解釈がだされている。そのため、現場でどう教えるか、教師一人一人の見解も多分違うので、教えにくく、従って教えることを避けるということになる。

■学校で教えなくとも、生徒がもう少し本を読めば、ずっと多くのことを学べるのに、それをしない人が多い。若者ばかりでなく中高年も同じである。かくて、昭和初期について、不十分な知識しかもたない国民が増えているようだ。「昭和」をメインテーマのひとつにしているので、ことさら気になることである。

■物事の判断の礎になるのは「情報」である。情報が少なすぎたり、一方に偏っていると、正常な「判断」をくだせない。テレビで年金生活者がデフレで物価がさがることはありがたいと語っていたが、大きな間違いである。デフレは経済を疲弊させ、企業倒産や失業者を増やし、モラルも破壊させる。最終的にデフレのツケはあらゆる国民にまわってきて、社会を破滅状態に追い込んでいく。昭和初期の大恐慌、その後につづくエロ・グロ・ナンセンス、さらに軍国主義の経緯について、もっと多くの人が学んで欲しい、と思うのだが。さて、どうなることか。強い懸念のもと事態の推移を見守っている人も多いことと思う。鳩山政権にとっても正念場である。
by katorishu | 2009-11-20 23:32 | 社会問題