コラム


by katorishu
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 飛び込み自殺が異様に多い

 12月19日(土)
■年末になり鉄道路線での人身事故も多くなっているようだ。「事故」の大半は飛び込み自殺である。本日、北千住まで行くため日比谷線にのったが、途中、人身事故の影響でしばらく停車していた。いつの時代でも自殺をする人はするが、最近特徴的なのは経済的理由からの自殺である。

■自殺には他の要因もあり、単純ではない。が、経済的理由が原因で追い詰められ、生きていても仕方がないとして死を選ぶ人もいるし、生命保険をかけていて、自分が死ぬことで家族や会社が助かるからといった理由で死を選ぶ人もいる。いずれにせよ、傷ましいことだ。どうせ、時間がくれば誰一人例外なく死ぬのだから、なにも急ぐ必要はないと心から思っている人は、それだけで「幸せ」の範疇にはいるのかもしれない。

■恐らく今年も年間自殺数が軽く3万人をこえ4万人に迫るかもしれない。それだけ日本社会がは傷んでしまった証拠である。本日、自宅近くのガソリンスタンドの横に救急車が止まっていた。見ると、傍らに人が倒れている。杖がわりにも使う買い物の「手押し車」とでもいうのか、それが傍らにあった。倒れているのは年取った女性だ。脳関係の発作で倒れたと思われた。最近、杖をついたり買い物の手押し車を押した老人の姿が、よく目につく。一人暮らしの老人も急増しているようだ。自殺の増加と高齢化。今を象徴するものである。

■少子高齢化社会のもたらす困難さは、これから20年ほどが「本番」であり、今は序の口である。早急に有効な対策を実施しないと、大変な状況になると思うのだが、未だ充分な対策がとられていない。私見では、少子高齢化社会への対応のひとつとして有効なのは、普通に生きるために「お金のかからない」システムを構築することである。

■とにかく、黙ってじっとして生きていても、「人並み」に携帯をもち、パソコンをやり、地方だと自家用の車をもち……となると、恐ろしくお金のかかるシステムが、社会の隅々に張り巡らされている。昭和の時代までは、普通に生きるために、今ほどお金はかからなかった。そこに「戻る」ことは、利潤追求を至上とする資本主義体制ではむずかしいかもしれない。かといって、ソ連その他で大失敗をした社会主義でもダメ。では、どうしたらいいのか。

■残念ながら、これといった方策が見つからない。そこに時代の向き合う困難さがある。誠実に、現実を見据え、より多くの人間を幸せにしようと、真剣に考えている政治家であったら、かなり絶望的な気分になるはずだ。多くの政治家は、相応の歳費がはいったりするせいか、かなりノーテンキに、目前の事態に、お茶を濁すことで、選挙民の関心をかうことに汲汲としているようだ。「自己保身」が身についてしまっている官僚の大半も同様。

■結局は、野生動物同様の「生存競争」だな、と道を歩きながら考えた。時代のキーワードは「サバイバル」である。とにかく生き残ること。残念ながら「システム」で守られていない多くの国民には、それしか明日に命をつなぐ方法がない。「サバイバル」のためには、利己的になってはダメで、「他」を生かすことによって「共に生きる」。複雑にからみあったシステムのなかでは、「利己主義」より「利他主義」のほうが、生き残る可能性が強い。このへんに、明日を開く可能性の芽があるのかもしれない。
by katorishu | 2009-12-20 03:43 | 社会問題