コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

大河ドラマ『龍馬伝』第1回は大河らしい無難な出だし

  1月3日(日)
■早くも正月は三が日の終わりの日になった。年賀状の宛名はせめて手書きでと筆で書いているが、これが結構骨がおれる作業で、中途で挫折してしまい、まだ予定の半分程度しか書いていない。以前はそういうことはなかったのだが、今年は面倒だなという気分が先に立つ。以前、大島渚監督が「ぼくは年賀状を2000枚ほど書く。仕事でつきあいのあった人が大部分だが、この年賀状がぼくの財産なんだ。ぼくの仕事は年賀状をだす人たちによって支えられている」と語っていて、印象に残った。以来、なるべく数多くの賀状をだそうと思ったのだが、最近は書くのが辛くなり、いただいても出さないケースも多い。ご寛恕のほどを。

■18時ごろNHKハイビジョンにチャンネルをあわせたところ、『龍馬伝』のPRをやっていると思った。大河ドラマは本日8時からのはずであったので、そう思ったのだが、本格的にドラマのスタートである。ハイビジョンで18時から放送されるのだと初めて気づいた。で、そのまま最後まで見続けた。初回だけ75分のドラマで、主役は福山雅治。『容疑者X』という映画で福山雅治の演技を見て好感をもっていた。

■で、期待して見たのだが、期待にたがわず最近の大河ドラマとしては骨太で、面白かった。演出は『ハゲタカ』の演出をした大友啓史。本来の大河ドラマの作りにもどったといっていいだろう。香川照之が全身で力のこもった演技をしており印象に残った。その他、総じてキャスティングがいい。人気先行のアイドル系タレントがほとんど皆無であったのも、好感がもてる。

■食事時に龍馬の家の女達がぺちゃくちゃしゃべりながらご飯を食べていたが、しきたりの厳しい土佐では、そういうことはなかったはず。我が家でさえ、昭和20年代から30年代の前半にかけて、食事時にしゃべると、「黙って喰え」と明治生まれの祖父にいわれたものだ。江戸から昭和前期まで、食事時、ぺちゃくちゃしゃべるのは「はしたない」という文化が、善し悪しは別にして、厳然と存在していたと思うのだが。(酒席では違うが)。

■かしこまって食べるのではなく、椅子に座って「欧米式」に食事をするようになって、この「黙って食う文化」は廃れた。龍馬の家では、開明的であり、当時の習慣にとらわれなかった――という認識のもとにやっているのか。あるいは、たんに制作関係者が「知らない」だけなのかどうか。ちょっと気になった。食べ終わってお茶を飲むときに、しゃべればいいのである。ご飯を口に運びながらしゃべるなどという(戦後のホームドラマにあるような)ことは、一定の「家格」をもった家ではありえなかった、と思うのだが。土佐では違うのかどうか。

■受信料で成り立つNHKならではの骨太のドラマとして、第1回に関する限り、良いスタートであったかと思う。脚本は福田靖。この人がテレビドラマなどを書く前の時期、小劇場の舞台の脚本を書いていて、その舞台を見ている。悪くない脚本家とそのとき思ったことを覚えている。途中息切れしないことを望みたい。
by katorishu | 2010-01-03 21:06