コラム


by katorishu
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アンチ・ハリウッド映画『倫敦から来た男』

1月20日(水)
■大寒だというのに本日東京の最高気温は17度。暖かくなると心も暖かくなるといいのだが、懐が温かくならないと、社会の空気は暖かくならない。どこもかしこも、「削減」とか「貧」といった言葉、現象の氾濫である。本日、某テレビ局の制作関係者から聞いたのだが、ここ1,2年で民放各社の番組制作費の総額は年間で1000億円ほど削減されたという。そのしわ寄せは当然、番組の質に素直に反映する。

■お金をかけなくても、人に感動を与える番組は不可能ではなく、たとえばこんなやり方がありますよ、とぼくなりのアイディアを披露した。「それはいけるかもしれない」と関係者。せいぜい、ない知恵をしぼりたいものだ。最近は以前の夜型の生活をあらため、早起きをして午前中から仕事をしているので、夕方からは情報収集や映画演劇等にあてることが出来る。早起きは三文の得といわれるが、その通りである。本日夕方、渋谷のイメージ・フォーラムで『倫敦(ロンドン)から来た男』を見た。ジョルジュ・シムノン原作でハンガリーの鬼才といわれるタル・ベーラ監督作品。「研ぎ澄まされたモノクローム映像で綴る孤高のノワール・サスペンス」という触れ込みであったので、期待して見たが、うーんとうなってしまった。

■アンチ・ハリウッド映画といったらいいのか、ハリウッド映画的な面白さをすべて切り捨て、必要以上に長いカット、リズムのなさ、わかりにくさ、サービス精神ゼロ……等々、エンターテインメント映画のもっている特色の逆をいった映画である。ま「芸術映画」というのだろうが、ぼくには少々疲れた映画だった。「アンチ映画」とでもいったらいいのか、以前、「アンチ・ロマン」という小説があり、ヌーベル・バーグという映画の流れがあったが、あれほどの意志的、実験的なものを感じられなかった。悪くいえば「ひとりよがり」。こういう実験作も、もちろんあっていいが、ぼく個人は異空間に遊べる良い時間をすごした、という気分には残念ながらなれなかった。
by katorishu | 2010-01-20 23:45 | 映画演劇