コラム


by katorishu
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飲食店を含めた屋内での全面禁煙が日本の将来のためになるのでは…… 

 2月2日(月)
■喫茶店で長時間仕事をしているので、タバコは吸わないものの他人のタバコの煙を相当程度吸っていることになる。副流煙とかで、むしろこっちの煙のほうが体に悪いらしい。欧米では多くの人が出入りする建物内での禁煙が進んでいるが、日本は「公共施設」ではすすんでいるものの、飲食店では全店禁煙の店は少ない。

■禁煙を法で規制すると「禁煙ファシズム」などという人がいる。タバコ好きの意見として理解できないわけではないが、タバコの煙は他人の健康を害するのである。明治期の富国強兵政策で国の税収が足らず、それを救ったのが酒税とタバコ税であり、日清戦争や日露戦争の軍事費の相当部分は酒税とタバコ税でまかなったのである。酒税、タバコ税がなかったら、国の外交政策もよほど変わったはずだ。

■体に悪く癌や心臓病の発生率とかなりの相関関係があるといわれているタバコ。いっこうに禁煙がすすまないのは、今も税の収入減として重要な柱になっているからである。財務省としても屋内がすべて禁煙になると税収減になって困るので、全面禁煙策にたいしては陰に陽に圧力をかけていると想像される。

■以前、助産師さんに直接聞いたのだが、最近死産や奇形で生まれてくる赤ちゃんがかなり多いらしい。奇形の赤ちゃんの多くは出産後死んでしまうので、人の目にはあまり触れないが、大学病院の産婦人科などにいくと、驚くべき数字がでているそうだ。原因は食べものや環境汚染などいろいろな要素が複合されたものだろうが、若い女性の喫煙も大きな理由になっているはずである。じっさい、喫茶店などに入って気づくのだが、若い女性の喫煙が目立つ。

■以前、若い女性(出産適齢期にある女性)がタバコを吸うのは稀であった。流産や死産の原因になることを、本能的にわかっていたのかもしれない。そのため、タバコを比較的よく吸っていたのは出産とは関係のなくなった「おばあさん」であった。男はもちろんよく吸っていたが。

■社会の習俗として若い女性のタバコにブレーキをかけるものがあったのである。男が吸っているのだから女が吸うなという法はない、と反論されるムキもあるだろう。が、敢えていわせていただくと、多くの人が出入りする建物、飲食店も含め、禁煙を徹底すれば、恐らく喫煙人口は半減し、結果として流産、死産も減り、多少とでも「少子化」に歯止めがかけられるのではないか。

■もちろん、子供を産んで育てることが当人の喜びに通じ、経済面でもメリットを与えないと、子供を産もうという若い人は増えないかもしれないが。産みたいという女性が、流産や死産を繰り返すケースも多いと聞く。原因のひとつは喫煙である。
 フランスなど子供が3人いれば、さまざまな公的な支援があり、母親は働かなくても「食べて」いける。未婚女性の産む子供に対する偏見もない。日本とは大違いである。

■今の日本で、産みたくても埋めない女性の、どのくらいが死産、流産に直面しているかわからないが、助産師さんの話では、相当程度の数にのぼるはずという。今後、「日本問題」の柱は少子高齢化であり、この問題が解決されない限り、住みよい社会にはなり得ない。いずれにしても、医院や坊さんが「儲かる」社会は、良い社会とはいえない。愛煙家には申し訳ないが、ぜひ飲食店などでの禁煙が進んで欲しいものだ。

■コロンブスがタバコをアメリカ大陸からもちこんだとされるが、それ以前にはタバコなどなかったのであり、それで誰も差し支えはなかった。タバコ産業の関係者の収入減は他の政策で補えばよい。禁煙が出産に害をおよぼし、健康を害し、医療関係者を儲けさせる――といった構図を、もっとマスコミは伝えるべきだろう。隣の席でたてつづけに5本6本とタバコを吸う若い女性の吐く煙を手で振り払いながら、思わず注意したくなった。そんな気持ちを抑えつつ、この一文を記す。
by katorishu | 2010-02-02 20:43 | 社会問題