床で江戸戯作本を読む
2004年 12月 05日
二日酔い気味。1,2時間ですぐ目がさめトイレ行き。布団の中で『江戸の戯作(パロディ)絵本』を拾い読む。(文庫本で)。
恋川春町作画の『万載集著微来歴(まんざいしゅうちょびらいれき)』と山東京伝作の『天慶和句文(てんけいわくもん)』。
前者は江戸天明期の狂歌『万載集』の成立の経緯とその完成を祝した作で、背景にあった編者たちのイザコザ、確執を、源平合戦に模して、パロディにしたもの。
後者は江戸の有名な天文学書の『天経或問(てんけいわくもん)』をもじったもので、お月様の放蕩がお天道様(太陽)の恩恵によってやむ……といったことを、月や太陽を擬人化して荒唐無稽に、滑稽化して描いたもの。
(写真は三軒茶屋、すずらん通り)
黄表紙はナンセンスに徹した絵入りの書物で、いわば「大人の漫画」といったもの。当時の時代風俗をバックに、人生の諸相を誇張し、からかい、戯画化し、風刺の味もきかせている。
黄表紙は安永4年(1775)から文化3年(1806)まで、江戸で出版された黄色表紙の絵入り小型本である。袋とじ5丁を1冊とし、多くは2冊を上下、3冊を上中下として流布したとのこと。
30年間に2000種以上が出され、主として江戸の下級武士や町民に読まれたが、手軽なため地方へも江戸土産として流れていったようだ。
江戸文化は案外奥行きが深く多彩であったことが、あらためて判る。パロディというのは、そのもとになる作がなくてはならず、読者は元の作を熟知しているからこそ、おもしろがるのである。
くすぐり、あてこすり、だじゃれなど、数々の言葉遊びに満ちており、内容は荒唐無稽、ナンセンスの極みながら、案外高度の「文化的お遊び」という気がする。
ただ過去の作として「研究」の対象とするのではなく、ここからいろいろと学んで今にいかせないか、などと思ってしまう。
江戸文化にちょっと「遊んで」しまったおかげもあって、約束の締め切りを過ぎてしまった短編戯曲とミュージカルの台本の執筆が遅滞している。遅滞しているからこそ、江戸のイキの世界にちょっと逃げて創を新たにしよう……というと執筆遅れの弁解になってしまうが。