コラム


by katorishu
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大相撲の「野球賭博」。相撲は「国技」などという美名は使わないほうがいい

 6月22日(火)
■大相撲の現役力士ばかりか親方などが「野球賭博」にかかわっていたことで、マスコミを賑わせている。相撲の興行は芸能の興業などと同じく、伝統的にヤクザ組織とかかわっていて、もちつもたれつの関係であったことは、関係者なら誰でも知っている。だから野球賭博に力士がかかわっていたとしても、なんの不思議もない。

■逆に怪しい部分があるので「国技」などという美名をかぶせ、権威付けをおこなっているのだろう。相撲の部屋制度、さらにはお茶屋制度そのものの中に「封建遺制」があって、民主主義とは相容れない部分もある。封建遺制とは不合理なものである。NHKが毎場所、実況中継をしなかったら、衰亡していたかもしれない。従って、一種の「無形文化財」として維持していくことは必要かもしれないが。この世界、「外国人力士」をいれないと興業がなりたたなくなったころから、妙な存在になった。

■「伝統芸を維持するプロレス」と割り切ってしまえば、これはこれでショーとして面白くなくもない。大鵬、柏戸が活躍したころが華であったなと、あらためて思う。若乃花、貴乃花の登場で、芸能マスコミが大騒ぎしたころから、精神性がどんどん失われ、「プロレス」のようになった、と古い相撲ファンとしては思う。あらゆるものがアメリカナイズされるなか、「化石」のようなものがあっても悪くはないが、ここにお金が集まりすぎた。

■お金が集まるところには銀蠅のようなものが必ずよってくる。未だ表面化されないが、IT関係で巨額の利益をあげているところにも暴力団は触手をのばしているに違いにない。警察当局も表向き、暴力団根絶をいいながら、伝統的にこの類の組織とどこかで「もちつもたれつ」の関係にあった。そもそも、暴力団が堂々と、ここが本拠ですよと、看板をかかげたりバッジをつけて白昼堂々とふるまっている国など、日本以外にない。アメリカやイタリアのマフィアだって、「事務所」など見えないところにあり、堂々と看板をかかげてなどいない。

■ただ、日本のヤクザ組織にかぎっていうと、一種の「はみだし者」の「生きる場所」となっている側面を否定できない。以前、関西に本拠をおく会津小鉄とかいうヤクザ組織の親分がテレビで、「われわれは、他に行き場のないはみだし者を受け入れて、更正させる面をもっている」と語っていた。行き場のない人間というものは、必ず一定数いるもので、当然彼等は「不満分子」である。そのまま放置しておくと危険なので、われわれの組織にいれ、まっとうな生業をさせている、従って十分存在価値がある……といった意味のことも語っていた。説得力があった。その親分は「なかなかの人物」であると、ものの本で読んだことがある。

■いろいろな生き方があっていいし、世の中「銀行員」や「官僚」のような人種ばかりになったら、だいいち面白くない。きれいな花の下には、どろどろに腐った土壌があるものである。ここだけをたたくのは、裏に別の意図が隠されていると、うがった見方をする人もいる。賭博といえば、一方に「公営賭博」というものがある。こちらの関連団体に、どれほど大量の公務員があまくだって高給をはんでいるか、忘れないほうがいい。一般にひとつの側面に執拗に焦点をあてる場合、ほかのある面への関心をそらせる意味合いのあることが多い。

■本日は日本放送作家協会の理事会。新しく理事に選ばれた協会員よりなる初の会合。舌に腫れ物(口内炎の類か)ができ、しゃべるのに苦労する。理事のなかでドラマ作家が大変すくなくなり、構成作家が3分の2を越えるのではないか。今のテレビ界の端的な反映といっていいだろう。新理事長になったのは、プロデューサー的手腕をもつ秋元康氏。ドラマ作家中心の従来の運営とは違った展開になるだろう。時代が激変期にあるので、当然、この組織もかわる。良いほうにかわることを期待したい。
by katorishu | 2010-06-23 03:18 | 社会問題