カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

『嗜癖(しへき)のはなし』(集英社文庫・岩崎正人著)は興味深い

 7月15日(木)
■本日、仕事の打合せに1時間ほどかけていく間、「嗜癖(しへき)のはなし」(岩崎正人著)を大変面白くよんだ。いろいろな「依存症」について、精神科医の立場から分析したもので、仕事依存症、アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症等々、これは病気だとして、そこの陥る原因やそれからどうやって脱出するかなどが記されている。

■人間の弱さの裏返しでもあるのだが、周囲を見回すと、依存症の人は案外多い。アルコール依存症は社会にマイナスをもたらす。少し古い統計だが1985年か90年にかけて東京医科歯科大学の研究グループが調査してところでは――過度のアルコール摂取による「社会的損失」を金額ベースで計算したデータによると、アルコールの飲み過ぎによる欠勤や仕事の生産性の低下じよる損失は年間4兆4000億円に達するという。また肝硬変などアルコールによって病気になった際の治療費が約1兆2000億円。さらにアルコールが原因で起こした交通事故などの損害、社会福祉費用などを総計すると、なんと年間6兆6000億円になるという。

■岩崎氏によると日本でのアルコール依存症者は220万人、アメリカは2200万人、ロシアは4000万人であるという。もっとも、アルコール依存症の人が消費するアルコールや酒場への支払いも膨大な額にのぼるはずだから、企業は商売をやっている人には「プラス」となる。かりにそれが1兆円以上あったとして、まだ5兆円ほどが損失となる。消費税分が「損失」となるわけで、依存症というのもかなり困った病である、とあらためて実感する。そういえばソ連が崩壊した最大の原因はアルコールであったとよくいわれる。労働者が朝からアルコールを飲んで酔っぱらい、それで生産の効率は著しく悪化し、それが国の衰退をもたらし、ついに破綻した……。

■酒は緊張を緩和したり、人を楽しい気分にさせるので、マイナス面ばかり強調するとよくないものの、依存症になると、社会にこれだけの「損害」をもたらすものなのか、とこの本を読んであらためて思った。幸か不幸か、ぼくなどアルコールに弱いので、依存症になる気遣いはないと思うが、心すべきことである。
by katorishu | 2010-07-15 22:52 | 新聞・出版