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新宿花園神社で井上ひさし作の『天保12年のシェークスピア』を見た

 7月18(日)
■梅雨も終わったようだ。梅雨はしとしと降る雨が常態であったが、どうも最近はさまがわりして熱帯性の雨降りが多くなった。環境汚染が原因なのか自然の循環なのかよくわからない。暑い日には野外芝居がよく似合う。昨日、新宿花園神社で椿組の芝居『天保12年のシェークスピア』(井上ひさし脚本)を見た。神社境内に小屋がけしたところで演じる舞台で「ライブ感覚」あふれる力のこもったもので、楽しめた。

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総勢50人もの出演で、豊穣な台詞と音楽、踊りを随所にまじえた作。悪代官にいためつけられる、とある宿場町の庶民のエネルギーを、シェイクスピア劇を下地にして、井上ひさしらしいコメディ+風刺劇に仕立てあげた脚本だ。井上ひさし脚本の舞台はかなりみているが、この舞台は初めて。そのまま上演すると4時間以上になる大作だが、この舞台では3時間にカットしたとのこと。宿場のボスの3人娘をめぐる色と欲の人間模様に焦点をあて、ダイナミックに展開する。暑い時には、こういうスカッとした芝居がいい。

■300人はいれる小屋は超満員で、客席にも熱気があった。なによりクーラーのないのがいい。演じるほうも大汗をかくが、見るほうも汗をかきつつ、水やビールを飲みながら見る。水を飲むのも禁じられたコンクリートのホールでは、こういう空気をつくりだせない。出演者がテレビ等の常連ではないのも、いい。メインの役者が知り合いなので、見にいったのだが、これまで花園神社で見た芝居(唐十郎氏やそのほか諸々の芝居)のなかでは『天保12年のシェークスピア』がもっとも面白かった。

■ラスト近く、舞台の裏手の仕切りががらがらと崩れおちる。と、向こうに新宿の町がひろがる。それが観客席からも見える。外を歩く人がたちどまり、なにごとかといった顔でこちらを見る。3時間の間、前の道路を救急車が3度もサイレンを鳴らせて走っていった。昔ながらの小屋がけなので、ちょっと脇をみれば外が見える。そんな空間で演じられる熱気あふれる舞台で、芝居の面白さの原点がここにあると思った。

■マスコミ関係者はぼくの知るかぎりNHKのドラマ関係者が二人ほど。こういうところにも顔をだし、ライブの熱気を自ら体験する。そういう姿勢が、今のテレビ関係者に少々欠けているのではないか。NHKドラマが他の民放局のドラマより「比較的面白く」佳作もおおいことも、日々の小さな努力の積み重ねにある、と思った。もっとも、この芝居25日まで続くので他の日には、他のドラマ関係者が見にくるのかもしれないが。

■やはり五感で味わえる「ライブ」はいい。ウェブの世界が主流になるといっても、所詮は人間の五感のうち視力と聴力のふたつに特化したメディアである。こちらだけが過剰になるのは、動物の一種である人間にはマイナスである。偏りから脱して平衡をとる力が無意識のうちにも働くのだろう。音楽でもライブに人気があるように、落語、芝居が盛んになっているようで、これは良い傾向である。終わって同じ小屋で役者たちもまじえて飲み会。観客も参加出来る。こいう野外の小屋がけ芝居をはじめて見るという若い女性もいて「やみつきになります」と話していた。案外こういうところから新しい時代の風が起きるのだろう。25日までやっています。18時半会場、19時開始。入場料は4000円。当日券あり、ということです。一見の価値はあります。
by katorishu | 2010-07-18 23:21 | 映画演劇