今年最後の授業
2004年 12月 16日
早稲田大学第二文学部、シナリオ演習、今年最後の授業。
ぼくが書いた映画のシナリオ作品を配布し、頭から読みながら、「プロのテクニック」や執筆の苦労話などもまじえて話す。
参加者は14,5人。そのうち「もぐり」が4人。他大学を卒業した人、以前ぼくの演習の授業をうけすでに卒業したひとなど。やはり、プロを目指そうとしている人は意欲が違う。出席はとらないので、登録者の3分の2は「脱落」出なくなった生徒の中には、「くそ面白くもない」と思っている人がいるのかもしれない。アルバイトなどで忙しいのかもしれないし、そのほか、用事があったり、体調を壊したりもしているのだろう。
最近では出席者は固定してきており、前回からの継続の部分があるので、たまに出席しても内容についていけず、結果として面白くないと思う。
創作を教えることができるのかどうか、ぼく自身に多少の疑問符もあるので、出席しない人を悪くいうつもりはない。ただ、ぼく自身の体験に照らせば、どんなに「つまらない」と思われる授業でも、できるだけ出席したほうがいい。
一応、プロで長年、メシを食ってきた人間が、なんとか自分の体験、経験を次の世代にバトンタッチしていこうと、ない知恵を絞ってやっているのである。雑談の中にも、得る事はあるはず……と信じたい。残った少数者に対しては、こちらも教える熱意がちがってくる。
たいてい授業が終わって、小一時間、学生ホールなどで出席者と懇談する。こういうことが実は、一番の「勉強」になるのだということを、若いときはなかなかわからない。それがわかるときは、もう若さを失ったときで、すでに可能性の芽がなくなっている。
早稲田での講義も、あと二回。来年の1月中旬で終わりである。新しいながれを創り出し、文化面で活性化をとりもどす原動力となるのは、あなたがた若者である、流れに敢えて棹さして独特の個性をつくりだしてもらいたい、とぼくなりに熱く語った。
何人かの心には届いたと信じたい。