コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

ジュディ・デンチ主演の映画「あるスキャンダルの覚え書き」を見た

 10月15日(金)
■このところ、生活のリズムが崩れ、眠る時間も起きる時間も一定せず、一日の区切りがどこにあるのかわからない状態だ。ふっと思いついたことを知り合いの会社経営者に話したところ、面白いかもしれないと、のってくれたので、「あるプロジェクト」が発足し、その実現のために知恵を絞っている。ひょっとしてこれは「化ける」可能性がある。「化けたら」その延長線上で、いろいろやりたいことも実現できるので、張り切っているのだが。

■他方、「霞ヶ関」もからむ「文化アーカイブ」構想と、この構想の中の柱のひとつ「脚本アーカイブズ」を実現させるため責任者としてかかわっているので、すでに「脳力」一杯といった状態である。どの分野でも新しい試みを実現させるのは、そう簡単ではなく、行く手には壁壁壁、無理解無理解無理解がたちはだかる。そこをどう突破するか、悩むところである。

■本来の原稿書きもしなければいけないのだが、そのエネルギーも時間も圧倒的に足りない。なにもかもが足りない中で悪戦苦闘することを、どこかで楽しんでいるところも、なきにしもあらずなのだが。本日、プロジェクトの検討会議で、ぼくの書いた文書のなかの「ついでに生きている」という言葉が、とっても面白いと30代の女性。なるほど、これは作家の吉行淳之介が数人の娼婦と対談したとき、娼婦の言葉としてでてきたもので、吉行淳之介は大変面白いと思ったそうだ。ひところ吉行淳之介に私淑していたので、この言葉が妙に印象に残っている。

■五反田の小料理屋で飲食し、論断風発、良い気分になって帰宅し、横になって新書を読むうち、いつの間にか眠ってしまった。目がさめると午前2時前。先日、ビデオレンタル店で借りたジュディ・デンチ主演の映画「Note on a scandal」がパソコンの隣にあったので、気分転換に見た。邦題は「あるスキャンダルの覚え書き」。定年間近の独身老女性教師が、新しく赴任してきた女性美術教師に興味をもつ。彼女は二人の子供の母親だが、若々しく、苦労知らずの「お嬢さん」。美術教師の再婚相手は、自分の父親ほどの年齢の弁護士。ほどなく、美術教師は教え子の15歳の少年と性的関係をもつ。そこから、おきまりの「スキャンダル」に発展する。独身老教師は「相談者」として美術教師に接するうち、じつは美術教師に「強い関心」、いってみれば同性愛的な感心をもつ。

■結局、老女性教師の「悪意」が働き、子持ちの美人美術教師と15歳の生徒との性的関係が明るみにで、スキャンダルになり、美術教師は告発され、家庭も崩壊のふちに。よくあるストーリーといえばいえるが、美術教師と老教師の微妙な関係が、じつにうまく描かれていて、最後まで飽きさせない。「B級映画」なのだが、ジュディ・デンチの皮肉で、少々意地悪な演技は秀逸。こういう老練な役者は残念ながら日本にいない。ハリウッド映画の奥行きの深さと多彩さを、思った。
by katorishu | 2010-10-15 04:07 | 映画演劇