コラム


by katorishu
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石井紘基代議士刺殺事件の犯人が驚くべき「自白」とテレビ朝日がドキュメントで指摘

 10月30日(土)
■8年前、自宅前で刺殺された元民主党代議士の石井紘基氏について、犯人からの「告白」をあつかったドキュメントをテレビ朝日が放送するという。石井夫人のナターシャさんから、香取さんにもぜひ見てほしいとの言づてを友人が伝えてきた。

■テレビ朝日社会部の大野記者が6年間追跡してきたもので、獄中にある犯人の伊藤白水との手紙のやりとりなどから構成したもの。「ドキュメント宣言」という1時間枠の後半30分近くをつかってこの事件の真相に迫る試みをしており、きわめて興味深かった。じつは以前、ぼくはナターシャさんが法廷で遺族からの陳述をする際、ナターシャさんの日本文の原稿作成に協力している。石井氏が衆議院に立候補する直前、ナターシャさんと渋谷で会って、真意を聞いたりしたこともある。

■そんな因縁もあって協力を要請されたのだが、犯人の真意を証拠づける資料がなく、背後にあるものに迫れないもどかしさと覚えたと記憶する。本日の放送では、伊藤白水は手紙で「殺害を頼まれて、最初に3000万、次に1500万」をもらったという意味のことを大野記者に伝えているとのこと。当初の予想通り、国会で「爆弾証言」を行おうとした石井議員を口封じするため殺害した、という見方がますます真実味をもってきた。

■番組中で江田五月議員の言葉として「時の権力中枢に深刻な打撃をあたえるものだった」という言葉も紹介している。最終的に黒幕がだれであるか。伊藤白水の口から大野記者は聞き出そうとしたところ、接見の日の当日、監獄に赴いた大野記者の顔を見て伊藤白水は、こんな人知らないといって接見を拒否したという。大野氏とは以前あっており、顔みて知らないといのはおかしい、と大野記者。大野記者との数度にわたる「文通」のことも、伊藤はなかったことのような態度で、結局接見は成立しなかった。

■土壇場で彼は黒幕の名前を明かさず、その人物を守ったということなのだろうか。ナターシャさんは当初から、主人は国会質問の口封じのために殺害されたと確信していると強調していた。石井議員の質問しようとしたことが何であったのか、刺殺されたとき石井議員の持っていた鞄から、資料類が抜き取られたとのことなので、不明である。関係者の話では、国会で質問がでれば、政権がひっくりかえるような重大事であったとのこと。ヤミ金がらみの事という憶測がながれているが、真相はどうなのか。

■この事件、殺害の動機は最後まで「不明」ということで結審した。きわめて不可解な事件である。大野記者は「黒幕」が誰であるかつかんでいるはずだが、はっきりした証拠がないので公にはできないようだ。石井氏の自宅でナターシャ夫人から、手元にある書類を見せられたときの記憶がよみがえった。権力は絶対的に腐敗するという言葉があるが、その通りである。日本の政財官の中枢には、この種の闇がまだまだ巣くっているといっていいかと思う。追求していくと、こっちの命も狙われかねない。日本社会は表面的には平和で平穏だが、一皮めくると、どろどろしたものが渦巻いており、怖い世界である。以前、心ある人からいわれたことがある。「香取さん、闇の世界やインテリジェンス関係に迫るノンフィクションを書くのだったら駅で線路側にたたないほうがいいですよ」と。そういえばカスピ海の石油利権をめぐる関係国の水面下の戦いについて取材をしようとしたことがある。危ないからやめたほうがいい、と複数の編集者からいわれた。結局、時間もカネもなかったので、取材はしなかったが。
by katorishu | 2010-10-31 01:53 | 政治