椿組公演『マイルド・セブンティーンズ・スター』はライトコメディの「傑作」に近い
2010年 12月 12日
■東京は12月にしては暖かい日がつづく。暮らしていくためには結構な気候なのだが、冬は寒くないと農業などに影響もでるし、温暖化の影響かと心配してしまう。本日も早朝に起きて午前中、めいっぱい仕事をした。午後、中野のザ・ポケットで椿組公演『マイルド・セブンティーンズ・スター』を見た。過日一緒に仕事をした女優の長嶺杏奈さんが出ているので見に行った。本日が楽日で、関係者が多かった。
■椿組の公演は新宿花園神社での野外劇しか見ていないので、180人定員の小劇場の公演はどうなのかな、と一抹の不安を抱いていた。傾斜のある劇場で、非常に見やすい。過去、数回足を運んだ劇場だ。舞台がはじまった当初は、吉本喜劇のまねかと思われるようなやりとりで、時間の無駄であったかと思ったのだが、30分ほどして次第に引き込まれた。高校の喫煙コーナーと写真部の暗室、印刷室が舞台の風刺コメディで、笑わせながら次第に禁煙派と喫煙派の教師たちの論争になる。このシーンは秀逸。
■出演者も個性的で多彩。椿組にチャリ企画がジョイントした舞台で、作演出は楢原拓。脚本のポイントをうまくつかんでいて、なにより楽しく癒しになり、さらにちょっと考えさせてくれる。ライトコメディとして風刺の味もきいていて、井上ひさしの舞台のように極上とはいえないまでも、近頃見た舞台のなかでは、大変面白く、「傑作」という言葉を冠したい。前半もうすこし台詞を練り込めば、深いものになるのだろうが、そうすると軽快さ、軽さ(ライト)が減じてしまうかもしれない。
■先日一緒に仕事をした下元史郎氏や加藤忍さんなどもきていて雑談できたのもよかった。昨日見た映画「武士の家計簿」より数倍面白く、こちらの創作意欲を刺激され、1時間50分の異空間を楽しく過ごすことができた。映画もいいが、やはりライブそのものの舞台のよさを改めて実感する。久しぶりの中野。駅近くにかなり盛っている飲食街がある。以前あった「妖しさ」がうすれ、やたらと値段の安いチェーン店が多くなっている。年末なので、チェーン店でない一角で軽く飲食して帰ったが、「疲れやすめ」になった。