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芥川賞・直木賞について

 1月19日(水)
■芥川賞・直木賞が決まった。以前はこのふたつの賞に注目し、受賞作はたいてい読んだのだが、最近は興味が失せた。小説は読むものの古典に限っている。価値観が流動する時代、精神のありどころを探るためにも、古典を読むことが大事である。

■長い時代をへて残ってきた人類の叡智の結晶である古典には、じつに深いものがある。同時に、人は何千年かかっても、まったく進歩などしていないことにも思いがいく。芥川賞・直木賞についてはマスコミが大きくとりあげることも、妙な現象だと思う。芥川賞がマスコミの話題になったのは、石原慎太郎の「太陽の季節」の受賞からであった。

■考えてみれば一出版社の仕掛けた賞であり、ほかの出版社の主催する賞からも数々の名作、話題作がでている。文藝春秋社の賞ばかりを派手にとりあげるマスコミに、違和感を覚える。今期の芥川賞の受賞者2人は異色の存在なので、珍しく読んでみようかとは思っているが。

■創作テレビドラマ大賞の選考の責任者を担った体験からいうと、作品の評価は選者によってじつにさまざまで、客観的評価はくだしがたい。ある選者が美点としてほめる部分が他の選者には欠点とうつる。根底には趣味の問題、好き嫌いの問題等々、個々人の美意識のほか、その時代の価値観、空気も微妙に評価に反映する。「太陽の季節」は昭和33年の受賞だと記憶するが、当時の社会通念としては画期的で衝撃的な出来事も、今ではごく平凡でありふれたことになっている。

■50年後、100年後には、現在評価されていない作品が新たな光をあてられて輝くのではないか。逆に今、一世を風靡している作が凡庸として忘れられることもあるだろう。誰であったか賞をもらうかもらえないかは「運である」と喝破した。その通りである。話題作を読むのもいいが、こういう時代であるからこそ、古典文学を読んでほしいなと改めて思う。人類の愚かさもふくめ、人の暮らしの原点、エッセンスが古典にはある。1冊でも読破すれば、心の豊かな糧になり、その後の人生に大いにプラスになるはず、と思うのだが。
by katorishu | 2011-01-19 22:46 | 文化一般