コラム


by katorishu
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国は文化の土壌を豊かにすることにもっと力をいれるべき

 1月27日(木)
■川崎市民ミュージアムにいってきた。見学というより「半ば公的」な取材であり、映像関係の学芸員に詳しく話を聞いた。品川からJR横須賀線で2駅目の武蔵小杉でおりてバスで10分ほどの所にある。かなり広い敷地に博物館、美術館、グランドまでを備えている。地方行政が運営するには、かなり大規模な施設。

■バブル時代に設立されたので、かなり贅沢なつくりだが、大不況の時代にはそれが重荷になっていると見受けた。当初の予算が相当減額されてきており、運営も第三者機関に委託しているとのことで、他のほとんどの組織と同様、担当者は苦慮しているようだ。二面がガラスばりで、まるでリゾート地の展望部屋のような会議室で話を聞いた。

■地元川崎市にゆかりの映画人から寄贈されたフィルムやチラシ、ポスターなどの関連資料も多い。映画のセットデザイン画等、それだけで貴重であり、見ていて飽きない。常時、さまざまな展示会を開いていて、市民に開放されている。難は、やや不便な場所にあること。そのため見学にくるお客がそれほど多くないという。個性的な展示会、美術展、回顧上映等々、見て損はない催しをやっているのだが。

■少数の学芸員しかいないものの、当然のことながら彼らは文化芸術に造詣が深く、知性的。今後、脚本アーカイブズといろいろと提携できそうなことも多く、有意義な時間を過ごせた。脚本アーカイブズはいずれ「ナショナル」なところに運営等を移管することになるはず。今の日本に必要なのは「文化の土壌」を肥やすこと、と「バカのひとつ覚え」のように関係者と会うと繰り返している。

■今の日本は土壌の部分から作り替えないと、どうしようもないところにきている。税の使い方を決める政治家、官僚は「文化・芸術」にもっと関心をもち、地味な土壌をいかに肥沃にしていくかに、もっと頭をめぐらして欲しい、と思ったことだった。小説も読まず、映画や演劇も見ず、美術展などにも足をはこばない人は、これからの政治家、官僚になってほしくないと、極論してもいいくらいだ。
by katorishu | 2011-01-27 21:57 | 文化一般