松本清張作品を思わせる映画「白夜行」
2011年 01月 30日
■昨日29日封切りの映画『白夜行』を品川プリンスシネマで見た。東野圭吾原作でテレビの連続ドラマで放送されたこともあって200万部ものベストセラーだという。ベストセラーやテレビドラマ化された作品をもとにした映画は、あまり見たくないのだが、生来野次馬精神が旺盛なので、どこに「人気」の秘密があるのかを探るためもあって見た。
■『60歳のラブレター』の深川栄洋監督作品で「堀北真希が聖女の顔をした悪女役で新境地を開拓」というふれこみ。『ある殺人事件にかかわった人々の複雑な人間関係を軸に、19年に及ぶ男女の狂おしい愛情を描く。『ALWAYS 三丁目の夕日』などの彼女の守護神のような相手役を、『おにいちゃんのハナビ』の高良健吾が好演する。互いの存在だけを頼りに必死に生き抜こうとする男女に課せられた残酷な宿命に言葉を失う』とのこと。
■丁寧にリアルな描写を積み重ねた作品で、感銘を受けた。松本清張作品を意識したような作りで、だからこそ清張ファンのぼくにはしっくりきたのかもしれない。テレビドラマは見ていないし、東野圭吾の作品もひとつも読んでいないので、純粋に映画『白夜行』を見られた。人物の心のひだがよく描かれており、ミステリーにありがちなストーリー先行のご都合主義が少なく、率直にいって面白く、原作を読んでみたい気がした。
■高良健吾の存在感もいい。二人の子役もうまい。演出面や映画ならではの省略も心地よく、画面にひきずりこまれた。堀北真希という女優、あまり好きではないタイプの女優なので、ま、こんなものかなという印象。2時間ドラマでパターン芝居を繰り返している刑事役の船越英一郎が、テレビとは違った良い味をだしていた。それと殺された男の妻役の戸田恵子が独特の存在感を漂わせて印象に残った。見て損はない作品である。5点満点の4点といったところ。